恐怖のいけにえ

監督:ピーター・フォレグ

脚本:ピーター・フォレグ

共同原案:キム・ヘンケル、スタン・ウィンストン、
トム・バーマン

出演:バーバラ・バック、シドニー・ラシック、
スティーヴン・ファースト、レリア・ゴルドーニ

ストーリー

 女性TVレポーターのジェニファーは、カメラマンである妹のカレン、アシスタントのビッキーを連れ、祭りで賑わうカリフォルニア州の小都市ソルバンクを訪れる。ところが、既に宿屋はどこも観光客で満室。途方に暮れた彼女らは、偶然出会った親切な中年男ケラーの好意で閑静な森の中に佇む屋敷に招待される。その様子を邸内からじっと伺う何者かの視線。体調を崩し、部屋でひとり休んでいたビッキーが床の通風口から現れた何者かに惨殺され、取材から戻ったカレンとジェニファーにも魔の手が迫る…。

レビュー

 「悪魔のいけにえ」のキム・ヘンケルが原案を務めた、パワー系の知的障害児が美女3人組を襲う不謹慎スラッシャー。現地の祭りを取材しにきたTVスタッフの3人娘は、親切なオヤジの粋な計らいで彼の一軒家に宿泊することになったが、そこの夫婦は何やら様子がおかしい。口から先に生まれたようにペラペラよく喋るオヤジとは正反対に、嫁は物静かで常に何かに怯えているかのようにオドオドとしている。おまけに、床の通風口からは何やら不審な物音まで…。実はこの夫婦は血の繋がった兄妹であり、近親相姦によって生まれた奇形児・通称ジュニアが地下で密かに飼われていたのだ。

 ジュニアが姿を見せずに美女を通風口に引きずり込んで殺害するシーンの恐怖演出はかなりのものだし、終盤で明らかになる全体像も相当なインパクトだ。ヒロインの前でニタニタ笑いながらヌイグルミをパンツにしまったり出したりする演技などは本当にソッチ系の人が演じているかのような迫力があり、通勤電車でこんな奴が同じ車両にいたらと想像するだけで恐ろしい。このままジュニアの1人舞台になるのかと思いきや、シスコンの変態兄貴に種付けされた挙げ句、偽りの家族ごっこに長年付き合わされた妹の堪忍袋の緒がついに切れ、ヒロインとジュニアそっちのけで不毛な兄妹喧嘩が始まる。オヤジの右ストレートでノックダウンする母親の姿を見たジュニアは「あうあうあーー!!(意訳:ママをいじめるな!)」と怒りのスーパー頭突きをオヤジに食らわせるものの、オヤジも負けじと釘付き木材をジュニアの脳天に叩き込む。オヤジは逃げまどうヒロインの息の根を止めようとするが、その胸をズドンと銃弾が貫通。倒れるオヤジの向こう側には、猟銃を構えた妹が立っていた。

 キム・ヘンケルが当初書いた脚本では夫婦に血の繋がりはなく、キチガイの息子がレザーフェイスよろしく大暴れするだけの単純明快なものだったらしいが、あまりの内容の無さに呆れた共同原案のトム・バーマンが大きく手直しをした結果、本作は他のスラッシャー映画とは明らかに趣の違う悲哀に満ちた物語となった。ラストシーンも、絶命したジュニアの頭を撫で続ける母親の姿を延々と映し出すダウナーなものになっており、レザーフェイスがチェーンソーを振り回してハイテンションに終わった「悪魔のいけにえ」とは対照的ですらある。尚、本作の監督であるピーター・フォレグはダニエル・スタインマンの別名義であり、彼は後に知的障害の息子を殺された父親が復讐の為にジェイソンと化す「新・13日の金曜日」を撮り、キム・ヘンケルやトム・バーマンと同様に共同原案としてクレジットされているスタン・ウィンストンは、近親相姦で誕生した奇形3兄弟が若者を愉快に惨殺して美味しく頂く「クライモリ」の製作に関与することになる。皆さん、随分と近親相姦とか知的障害ネタがお好きなようで。

 

 

ジュニア君によって通風口に引きずり込まれる犠牲者

 

絶命するジュニアの頭を撫で続ける母親。悲しすぎる

 

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