跋扈妖怪伝 牙吉

監督:原口智生

脚本:神尾麦

出演:原田龍二、田中美紀、
中山夢歩、安藤希、清水健太郎

ストーリー

 時に安政2年。近江百井藩の寂れた宿場町に流れ着いた無宿浪人、人狼・牙吉は、そこで賭博場を取り仕切る鬼蔵と出会う。鬼蔵家には、親に捨てられ孤児となった美しい娘・桔梗や、住処を追われた妖怪達が人間に化けて暮らしていた。彼らは巧みに人間のならず者をおびき寄せては、その肉を食らっていたのだ…。

レビュー

 腰砕け妖怪活劇「さくや妖怪伝」の姉妹作。全国劇場公開作品で、尚且つジャリ向けという制約のあった前作と違い、Vシネマの本作は監督のやりたいことを存分にやれたのか、驚くほど硬派で大真面目、まさに血沸き肉踊る傑作に仕上がっている。主人公・牙吉の殺陣は本格的で格好良いし、前作では極力避けられていたゴア描写も満載だ。切られた人間の腕や首が宙を舞い、血飛沫が遠慮なく噴き出る容赦の無い作風は、マカロニウエスタンが好きな人なら間違いなく急所にクリティカルヒット、この世界観の虜になってしまうだろう。また、主人公の原田龍二を初めとする多くのキャストの演技が絶妙で、前作のフニャフニャ喋りの脱力系主人公とはエライ違いである。その前作の主人公である安藤希も違う役柄で出演しているが、割と演技も上達していて驚くほど落ち着いた芝居を見せてくれる。こうなったらもう、前作は無かったことにして良いんじゃないか?

 しかし、これだけ完成された世界観なのに、残念ながら本作は妖怪映画でありながら妖怪がほとんど登場しないという冗談みたいな欠点がある。いや、正確に言うと妖怪達は常に画面上に登場しているのだが、この世界の妖怪達は迫害から逃れる為に人間の姿に化けているので、設定上では妖怪でも画面に現れるのは極普通の人間達なのである。これだと単に会話が電波な時代劇もどきなってしまうワケだが、最後の最後に妖怪魂を奮い立たせてくれる人狼vs一つ目入道の「サンダ対ガイラ」を彷彿とさせる熱血バトルが待っているので、妖怪好きのちびっ子諸君は「何だよコレ、妖怪出ねえじゃん!」と怒り狂って途中でテープを引き抜かないように。言うこと聞かない悪い子は夜中迎えに来るんだからねっ!

 

 「さくや妖怪伝」とは違いゴア描写が満載!

 

  

ラストバトルで変身する牙吉。変身するまでが長え!

 

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