香港ゾンビ

監督:ウィルソン・イップ

脚本:ウィルソン・イップ、マット・コウ、ソー・マンシン

出演:ジョーダン・チャン、サム・リー、アンジェラ・トン、ライ・ユーチュン、チョン・ガムチェン

ストーリー

 モールの海賊版VCDショップで働くモーディとビーのダメ男コンビ車を運転中に男を轢いてしまう。急いで男の持っていたジュースを気付けに飲ませるが、実はこの男は化学兵器の密売人であり、持っていたジュースはゾンビを生成する薬品だったのだ。そんなことは知らない2人は男をトランクに積み込み、いつも通り職場に向かう。だが男はゾンビ化し、トランクから脱走すると警備員を襲い始めた。モールの寿司屋の男も襲われ、ネズミ算式に増えたゾンビはモール内を埋め尽くしていった。

 モーディとビー、エステ店員のサイギュン、質屋のコイらは完全武装でモールからの脱出を試みるものの、次々と襲い掛かるゾンビには成す術もなく、最終的にはモーディとサイギュンを残して全滅してしまった。2人は手を繋ぎ合い、駐車場にて最後の戦いに挑む。ゾンビの群れを掻き分け、なんとか車に乗り込みエンジンを始動させるが、一難去ってまた一難。シャッターが閉まったままだったのだ。そこに寿司屋のゾンビ(サイギュンにベタ惚れ)が助っ人に現れシャッターを持ち上げると、2人は無事に脱出に成功するのだった。

 疲れきったサイギュンは車内に放置されていたジュースを飲むが、モーディはそれが事件の発端となった薬品であることを知ってしまった。放心状態のモーディ。しばらく考えた後、モーディもジュースを一気に飲み干すのであった。 

レビュー

 中国のボンクラが作ったゾンビ魂溢れる作品。「東京ゾンビ」に便乗したと思われる邦題が寒々しいが、製作年はこちらの方が先。中国のゾンビ映画といえば真っ先にキョンシーが思い浮かぶのだが、本作はロメロが構築したゾンビ像をしっかりと踏襲した正統派のゾンビ映画となっている。舞台がショッピングモールというのも嬉しい。悪く言ってしまえば単なるパクリなのだが、モール内を虚ろな表情で徘徊するゾンビ達を見ていると、そんなことはどうでも良くなってくる。やはり、モールが舞台だとゾンビが映える!モールあってこそのゾンビ、ゾンビあってこそのモールである(意味は不明)。

 さて、肝心の中身はと言うと、これがまた微妙だったと言わざるを得ない。何せ前半は2人のダメ男の日常が延々と続くだけなのだ。この辺は「ショーン・オブ・ザ・デッド」とよく似ているのだが、哀愁漂うボンクラ男のショーンと違い、こっちは金の為なら平気で強盗をするような本当のゴミ野郎なので感情移入は全く出来ない。また、ゾンビとの攻防戦がメインの後半も、一度の画面に登場するゾンビの数が意外にも少ないので、舞台の割にはこじんまりとした印象を受けるだろう。

 しかし終盤10分になると、急に情け容赦の無いハードな展開が待っている。主人公達を助ける為に奮闘した寿司屋のゾンビは他のゾンビの怒りを買ってしまい、無惨にも食い殺されてしまうのだ。更に秀逸なのがラストである。惨劇の発端となったゾンビ生成薬入りのジュースを飲んでしまったヒロインを見て愕然とする主人公は、悩みに悩んだ末、自らもジュースを口に運ぶ。救いの無い終わり方はゾンビ映画のお約束だが、それでもこのラストには意表を付かれたと同時に感動すら覚えてしまった。ちなみにDVDの特典で見れる没になったエンディングとやらは、ゾンビ化したヒロインが主人公に襲い掛かってENDというクソ面白くない結末なので、こっちが採用されなくて本当に良かったと思う。

 

主人公達を導く寿司職人ゾンビ。あんた最高だよ!

 

 

ゾンビ・ジュースを飲んでしまったヒロイン。そして…

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