ゾンビ自衛隊

監督:友松直之

脚本:大河原ちさと

出演:渡瀬美遊、大矢剛功、山崎潤、
佐伯俊、みひろ、荒井兼ニ

ストーリー

 陸上自衛隊の一個小隊が、富士の樹海での演習中に突然ゾンビ現象に遭遇。首吊り腐乱ゾンビ、極道ゾンビなど、次々と襲い掛かってくるゾンビ軍団に、女性自衛官・友里らは立ち向かうが…。

レビュー

 監督は友松直之。ゾンビ映画にピュアな純愛要素を織り交ぜ、一般客はおろかホラー映画ファンをも愕然とさせた怪作「STACY」を世に送り出した男である。非常にクセのあるトチ狂った作風は本作でも健在のようで、相変わらず誰をターゲットにしているのかサッパリ分からない映画に仕上がってしまった。

 とりあえずオープニングが既に狂っている。日本国旗をバックに、やる気の無い声でアメリカを批判するナレーションが延々と流れるが、最後に「あ、でもジョージ・A・ロメロは天才」と付け加えられる。結局それが言いたかったのかよ!と思わずTVの前で引っくり返ってしまった。この“ロメロ大好き宣言”の時点でおおよそ察しは付くが、本編はもう、ロメロゾンビへのオマージュ祭りである。

 プレステでもお目にかかれないようなヘッポコCGのUFOが樹海に墜落し、謎の怪光線が降り注いで死者が蘇るのだが、この設定は人工衛星をUFOに変えただけで「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」と一緒。「地獄が満員になると…」の台詞や、窓ガラスを叩いてゾンビを誘導する作戦は「ゾンビ」を存分に意識しているし、隊員の1人がゾンビの集団に襲われ、上半身と下半身を生きたまま2分割されるのは御存知「死霊のえじき」である。オマージュはロメロゾンビだけに留まらず、ベビーゾンビが宙を舞いまくってドタバタ騒動を巻き起こす「ブレインデッド」的な展開まであるのには驚いた…というよりも呆れてしまった。説明するまでも無いと思われるが、これらのシーンは全て本家の足元にすら及ばない出来である。

 正味の話、ここまでなら単なるオナニーで済むのだが、終盤に進むにつれて次第に物語の馬鹿馬鹿しさが増してくる。まず、主人公の女隊員はサイボーグだったことが明らかになり、奥歯のスイッチを噛むことでバトルモードに変身(お前は島村ジョーか)。ユマ・サーマンよろしく日本刀を振り回し、ゾンビを一気に殲滅する。しかし、そこへ樹海に眠る先の大戦の英霊が復活し、ガチンコチャンバラを繰り広げるのだが、その様はまるで二日酔いで嘔吐寸前の北村龍平が撮った「VERSUS」のような趣。要するにショボい。そんな状況の中、墜落したUFOからピ○チューにクリソツの宇宙人まで現れたりするので、もはや自分が映画を観ているのか、便器の中を覗いているのかも分からなくなってくる。手の付けようがないほどにカオスと化した物語は、富士山の大噴火をバックに女隊員がゾンビの集団に特攻をカマすという、投げやりな形で終止符が打たれる。間違い無い。この映画に関わった連中は全員バカだ。そして、何だかんだ言って最後まで楽しんで観てしまった自分も勿論、大バカだ。

 

ベビーゾンビが繰り広げるドタバタは「ブレインデッド」風味

 

 ちゅどーん!!バカ映画、ここに極まり

 

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