ノロイ

プロデューサー:一瀬隆重

監督:白石晃市

出演:小林雅文、松本まりか、矢野加奈、
掘光男、アンガールズ、高樹マリア

ストーリー

 怪奇実話作家小林雅文が「呪い」をテーマにしたドキュメンタリーを完成させた直後、謎の失踪を遂げた。彼の自宅は全焼し、焼け跡からは妻の遺体が発見された。彼の残した作品「ノロイ」はあまりに衝撃的な内容であった…。

 隣家から聞こえる謎の音、超能力少女矢野加奈の失踪、放送中止となった心霊特番で発狂した女優、「霊体ミミズ」を警告する自称霊能者掘光男、謎の集団自殺。小林が調査をしていくうちに、一見無関係ともとれるこれらの現象を繋ぐ「禍具魂(かぐたば)」という言葉に辿り付く。全ての答えは、とある村で行なわれていた儀式にあった。その儀式の最中に呪われた石井潤子という女性が、再びこの世に「禍具魂」なるモノを復活させる為、矢野加奈を巫女として儀式を行なっていたのだ。しかし、石井は罪の意識に苛まれ自殺を遂げた。呪いの連鎖は終わったかのように見えたが…

 石井潤子、矢野加奈の死体と共に見付かった少年は、小林が引き取ることになった。しかし、小林の自宅に掘光男が突然現れ、その少年こそが「禍具魂」だと警告。少年の頭を石で殴りつけ、止めようとする小林の頭部も殴りつける。だが、そこに矢野加奈の幽霊が現れ堀の精神は崩壊(元から崩壊してるが)。少年を連れて何処かへ消えてしまった。一方、小林の妻も取り憑かれてしまい、いきなり焼身自殺する。小林の自宅は全焼、彼の行方は依然として掴めていない。

レビュー

 宣伝では“実話”と称されているが、実際は完全な“やらせ”であったり、明らかに映画という名のもとに作られた架空の話であるものをフェイクドキュメンタリーと呼ぶ。近年では「ブレアウィッチプロジェクト」(以下「ブレア〜」)などが記憶に新しいだろう。どういうわけか、やたらと残酷な内容が多いのもこのジャンルの特徴である。いつの時代にも、人々の関心は陰惨なものに向けられるということか。

 さて、本作「ノロイ」もそんなフェイク・ドキュメンタリーの1つだ。謎の失踪を遂げた怪奇実話作家“小林雅文”の残したフィルム…という肩書きだが、そんな名前の作家はこの世に存在しない彼の作品を出版しているとされる“杉書房”という会社もフェイクである。ちなみに、“小林雅文”で検索エンジンにかけると“小林雅文公式サイト”なるものにヒットするが、それも製作者側が用意した偽のサイトであり、いわばプロモーション活動の一環である。他にも、怖い話を集めるサイトなどで“かぐたば”って知ってますか?」という質問を唐突に書き込むなど、宣伝工作員の地道な活動が各地で見られた。だが、仮にこれらの宣伝を真に受け、“実話”と信じきったまま本作を観賞したとしても、恐らく開始10分で本作が壮大な釣りだったということに気付くだろう。何せ、ドキュメンタリーなのにも関わらず出演者がしっかりと演技をしているのだから。

 ただ、本作は「ブレア〜」なんぞより、数倍観客を楽しませてくれる作品である。魔女を一切登場させなかった「ブレア〜」と違い、本作はちゃんと観客の見たいモノを見せてくれている。例えそれが、CGモロバレの幽霊であってもだ。むしろ、大量の動物の死骸をわざわざ写したり、首吊り死体や焼身自殺の現場をしっかりカメラに収めているところを見ると、本作が目指したのは「ブレア〜」ではなく、「食人族」や「グレートハンティング」などの行き過ぎたフェイク・ドキュメンタリー、いわばモンド映画の路線だったようにさえ感じる。倒れたカメラ越しに延々と惨劇の様子が映し出される怒涛のクライマックスは正しく「食人族」のノリだ。スタッフロールも無しにブツンと唐突に映画が終わるのも、本作の持つ胡散臭さを一貫していて見事であったといえる。私は劇場で鑑賞していたのだが、上映終了後、観客全員が(゜д゜)←こんな顔をしていたのを今でも覚えている。あの異様な空気感を劇場で味わえる作品は、恐らくこの先何年経っても現れることはないだろう。

 

超能力特番。インチキだけどよく出来てます

 

最後はもう「食人族」のノリ

 

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