セーラーゾンビ

監修:秋元康

監督:渡部亮平、今泉力哉

脚本:渡部亮平、犬童一心

出演:大和田南那、川栄李奈、高橋朱里、
 渡辺麻友、横山由依、岩田華怜

ストーリー

 世界がゾンビ化してから2ヶ月。藤美女子高校では、女子高生たちが絶望的な状況でも明るく図太く順応して、意外にも普通の学園生活を送っている。そこに命からがら逃げ込んできたアイドルを目指す女子高生、舞子。転校生として迎えられた彼女は様々なアクシデントに見舞われながらも、睦美や百花など他の女子生徒たちと徐々に友情を深めていく。

レビュー

 テレビ東京の深夜枠で放送されていたAKB48主演のゾンビドラマ。監修は勿論、天下の秋元康先生。総合演出と脚本には「ジョゼと虎と魚たち」や「眉山」の犬童一心も関わっている。ゾンビが日本中に蔓延している終末世界を舞台に、とある学園に立て籠っている女子高生たちに焦点を当てたがっこうぐらし!」とよく似た設定のストーリーであるが、ドラマのコンセプトが青春ポップホラーと謳っていることもあり、ラジオから流れる特定の歌でゾンビが一斉に踊りだしたり、全長45メートルの巨大女子高生ゾンビが特に何の説明もなく登場したり、迷子の子供ゾンビを家まで届けたりと、真面目に観ていたら死にたくなるような脱力展開が目白押しである

 登場人物らも緊張感という概念を母親の胎内に置いてきてしまったかのような連中が揃っており、女子高生らは命の危機が迫っているのにも関わらず呑気にお茶をしたり占いに興じたりしている。これが製作陣のおじさま方が考える「今時の女子高生感」なのだとしたら完全に女子高生をナメているそれに加えて主演のAKB以外のキャラに対する扱いが雑すぎるのも大いに気になるところで、特にコメディリリーフ的なキャラであった太目の女子生徒が死にかけの状態で放置されてしまう展開には流石に言葉を失った。AKB以外の人命がとにかく軽い昨日まで一緒に過ごしていた生徒会長が体の一部を残して失踪していることに関して誰も気にも止めていないのもヤバい。「間違った今時の女子高生感」と「AKB以外はモブ扱い」による相乗効果で登場人物全員がサイコパスに見えてくる。

 しかしまあ、「青春ポップホラー」を謳っていながらも、終盤は登場人物の大半が死んでしまうゾンビ映画の王道的な展開に移行していくのは個人的に嬉しかったポイントで、途中で合流する自衛官の女性が無慈悲にゾンビに襲われてしまうシーンなどは地上波ドラマにしては攻めている人体欠損描写もあるので、決して全部がダメなわけではない。希望を抱いて目指していた場所がディストピアだった最終回は特に何の救いもなく、大量のゾンビに囲まれ死亡が確定している状態で、主演の3人がゾンビが踊り出すオリジナルソングを高らかに歌い上げるラストシーンは実に印象的。歌い終わったら食い殺される。だから、彼女たちは死ぬまで明るく歌い続ける。アイドル主演のゾンビドラマに相応しい、儚くも美しい結末であった。

 

地上波ドラマにしては割と攻めてるゴア描写

 

歌い終わった瞬間に食い殺される物凄い状況

 

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