悪魔の墓場

監督:ホルヘ・グロウ

脚本:サンドロ・コンチネンツァ、マルチェロ・コスチア

出演:レイ・ラヴロック、アーサー・ケネディ、
クリスチーヌ・ガルボ、アルド・マサッソ

ストーリー

 ロンドンで骨董屋を営むジョージは、週末郊外に出かけたが、ふとした事がきっかけで、エドナという女性の車で彼女の姉の住む町まで同乗する事になる。その田舎町では、害虫駆除のために超音波が使われていた。エドナが謎の男に襲われ、さらに彼女の姉の夫が殺害されるに至り、2人は害虫駆除の超音波によって死者が蘇っている事実に気づく…。

レビュー

 イタリアとスペインがタッグを組み、ロメロ「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」を豪快にパクってスクリーンに臓物をぶちまけた70年代ゾンビ映画の傑作。我が国では「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」が劇場公開せず、更には本作が「ゾンビ」の日本公開より4年早かったことも手伝ってか、本作が人肉を食らう生ける屍のファーストコンタクトとなった人も多いと聞く。不気味極まりないゾンビの特殊メイクを手掛けているのは、後にフルチの「サンゲリア」「ビヨンド」でもキレッキレの才能を発揮するジャネット・デ・ロッシであることから、当時の観客は総天然色で繰り広げられる一大ゾンビ地獄絵図をゲップが出るほど堪能したに違いない。何とも羨ましい話ではないか。

 ストーリーは「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」よりも死体甦り現象の原因が明確化されており、主人公とヒロインが事件の真相に迫っていくサスペンス展開と、墓場から甦ったゾンビが襲ってくるホラー展開との緩急の付け方が実に上手く、星の数ほど存在しているロメロ・フォロワー作の中でも珠玉の出来といえるだろう。写真に写らず、生者の血液で活性化する怪奇趣味全開なゾンビの設定も面白く、頭を撃たれようが平気で活動し続けるその姿は今の時代のゾンビ映画から見ると実に新鮮で楽しませてくれる。虚ろな視線で遠くを眺めながら人肉を頬張るゾンビさんの何と愛おしいことよ!

 また、物語全体がどうしようもなく陰鬱で暗いことも本作の大きな魅力となっており、主人公は事件の真相が害虫駆除装置にあると早々に気付き、被害の拡大を防ぐために様々なアクションを起こすものの、ゾンビの存在を信じない警察からしてみれば事件の最有力容疑者が盛大にキチガイムーブをしているだけにしか見えず、主人公の努力は最後の最後まで報われず警察に射殺されて死んでしまうのである。この結末は元ネタの「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」からの影響が色濃く反映されているが、そこから更に主人公のゾンビ化という死体蹴りに等しいプラスアルファ要素も加味され、見ているこちらの気持ちをドン底に落としてくれる。亜流なのは間違いないが、本家の魅力を上手く抽出し、より救いようのない物語へと落とし込んでみせた良質なパクリのお手本ともいえる作品だ。


 

この害虫駆除装置のせいで大変なことに

 

カラーで人肉を頬張るゾンビさんは「ゾンビ」よりも4年早い!

 

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