トーク・トゥ・ザ・デッド

監督:鶴田法男

脚本:鶴田法男、佐東みどり、一瀬隆重

出演:小松彩夏、加藤和樹
桜井ユキ 、嶋田久作、毬谷友子

ストーリー

 母親が男を作って出て行ってしまい、幼い弟を養うため百合はデリヘル嬢として働いていた。だが、ある日病気と分っていながら弟を一人にし、死なせてしまう。後悔の念の苛まれる百合だったが、同僚のマユから死者と話ができるアプリの存在を知らされる。ただし、死者から「会いたい」と言われても決して承諾してはいけないという。その場合自分も死の世界に誘われるというのだ。半信半疑でそのアプリを使ってみると電話の向こうから死んだはずの弟の声が聞こえてきた…。

レビュー

 映像プロデュース会社ダブル・フィールドによるネクスト・ホラー・プロジェクトの第3弾として公開された作品。「リング」における呪いのビデオや、「着信アリ」の携帯電話のように、本作ではスマホアプリが恐怖を生み出す媒体として登場。死者と通話できる禁断のアプリを巡る様々な人間ドラマが展開され、ホラー映画というよりは人間の業や悲哀を描いた作品である。

 とにかく、登場人物の全員がワケあり物件である。ヒロインは母親の借金を肩代わりしているデリヘル嬢であり、客との延長プレイの最中に留守番中の幼い弟が病死した悲しい過去を背負っている。そんな彼女に禁断のアプリを教える新人のデリヘル嬢は周囲から虐めを受けており、毎日禁断のアプリで亡くなった祖母との通話を楽しんでいる。禁断のアプリを追う女性記者は過去に恋人を亡くしているが、その原因は自分自身の浮気にあったことが終盤で明かされる。「案山子」のヒロインは兄を、「予言」の夫婦は娘をといった具合に、鶴田監督の心霊映画に登場するキャラクターは大事な人を失っている設定がとにかく多いが、本作に関してはとにかくそれが顕著だ。

 かつて脚本家の三宅隆太氏は、「心霊」とは生死を問わず、心の時間が止まった人のことであると定義していた。そう考えると、登場人物の大半が大事な人を失い、心の時間が止まっている本作ほど心霊映画らしい心霊映画は存在しないといっても過言では無いだろう。問題はホラー映画として少しも怖くないという点と、本作より前にネクスト・ホラー・プロジェクトの第2弾として上映された白石晃士の「カルト」ヤバいくらい面白かったというタイミングの悪さにある。物凄く丁寧に作られているが、特筆した面白さは無い。これぞ鶴田映画の真骨頂ともいえる作品である。

 

悲壮感漂うヒロインを演じるのは「ミス・ゾンビ」の小松彩夏

 

死者と通話できる禁断のアプリ、あなたは試しますか?

 

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