らせん

監督:飯田譲治

脚本:飯田譲治

出演:佐藤浩市、中谷美紀、
佐伯日菜子、鶴見辰吾、真田博之

ストーリー

 病院の解剖室に送られた男の死体の胃の内容物の中から、数字が羅列された紙切れが発見された。解剖を担当した医師・安藤満男はその男がかつての同級生だったことを知る。安藤は、第一発見者の高野舞とともに、その謎に挑もうとする中、ある不気味な存在が浮かび上がる。 彼が到着する真理。それは人類進化の扉か、破滅への道なのか…。

レビュー

 「リング〜事故か!変死か!4つの命を奪う少女の怨念〜」を手掛けた飯田譲治による劇場版「リング」の続編であるが、今となっては、「リング」と同時上映したことが信じられないくらいトンデモな映画である。何せ、本作は「リング」で我々が感じた恐怖を悉く否定してかかるのだから。まず第一に、「リング」における最大の恐怖は貞子が念写した呪いのVHSにあるのだが、この映画はそれを科学的に解明し、網膜から受け取った呪いのVHSの映像が体内でウイルスを構成それが原因で見た人が1週間後に死に至るということが説明される。つまり、前作でテレビから出てきた貞子は全て被害者の見た幻影、妄想に過ぎないということになってしまうのだ。

 そして、前作の大オチともいえる終わりなき呪いの連鎖をも本作は否定してみせる。ダビングした呪いのビデオを祖父に見せたことで呪いが解かれた思った浅川の息子、陽一君は本作で実に呆気なく死んでしまう。じゃあ何故、浅川は1週間経っても生きていたのか。ここからが実に荒唐無稽な話で、ウイルスは映像だけでなく何と文章からも感染するらしく、浅川は前作で呪いのビデオに関する取材メモを残しており、その取材メモは将来的に「リング」というホラー小説となって出版され、日本、そして世界中の読者がウイルスの犠牲になるであろうことが本作で示唆される。浅川は無意識のうちに貞子の協力者となっていたので、呪いのビデオの犠牲にはならなかったというのだ。「リング」の続編が、一体何でこんなヘンテコな話になってしまったのか。原作では鈴木光司の文章力で妙に納得させられてしまう部分もあるのだが、映画はとにかく説明不足な点も含めて首を傾げたくなるような展開のオンパレードである。

 「リング」と続けて鑑賞すると椅子からズッコケそうになる映画であることは確かであるが、単体で見ると実はそれほど酷い映画でもなく、むしろ「リング」シリーズの中では最も濃厚な人間ドラマを見せてくれる作品といっても過言ではない。主人公の安藤は幼い息子を海難事故で失っており、毎朝目覚める度に自殺を決意するが、土壇場で手首を切ることが出来ない弱い人間として描かれる。そんな彼が数奇な運命の巡り合わせで呪いのVHSを見てしまうことになり、犠牲者をこれ以上増やさない為に全ての呪いのビデオを破壊する。これで呪いのビデオで死ぬのは自分で最後。解剖医として死体を切り刻むだけの日々を繰り返していた自分が、多くの人間の生命を救ったのだと威勢を張るが、その内心は迫りくる死の恐怖に酷く怯えている。そんな彼と超能力者・高野舞との交流は、役者陣のレベルの高さもあって思わず引き込まれてしまう。

 また、この作品に関しては結末が特に印象的であり、貞子との密約により失った息子を取り戻した安藤が、息子と2人で浜辺を歩いていくシーンが不思議な余韻を残してくれる。貞子の復活、そして「リング」の出版により、破滅へと向かっていく世界の中で手に入れたささやかな幸せ。高山竜司はそんな彼に「こんな世界で子供を甦らせることなど、そんな残酷なことは俺には出来ない」と皮肉を投げ掛けるが、子を持つ親であれば誰もが安藤の選択に深い共感を覚えてしまうだろう。尚、復活した安藤の息子であるが、彼のその後の顛末は貞子3D」「貞子3D2」の2作で描かれることとなる。特に貞子3D2」では本作で高山竜司が予見した通り、無数のチビ貞子が各地で誕生し、破滅へと向かう世界が描かれているものの、監督の力量不足で少しも緊迫感のない映画に仕上がっていた

 

今作の貞子は2代目黒井ミサこと佐伯日菜子が演じている

 

ラストシーンがとにかく印象的な作品

 

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