POV
〜呪われたフィルム〜

監督:鶴田法男

脚本:鶴田法男

出演:志田未来、川口春奈、
平野靖幸、児玉貴志、三浦まゆ

ストーリー

 志田未来は、所属事務所の後輩、川口春奈とともに携帯電話向けの番組の収録をしていた。「志田未来のそれだけは見ラいで!」は毎回、全国の視聴者から投稿された動画を紹介する番組。その日は本物の心霊現象が映った動画「真霊動画特集」の収録を進めていた。すると投稿映像に異変が起き始め、モニターには予定のない映像が流れ出し…それは春奈が通っていた中学の映像だった。「その中学に行って浄霊をしなければならない」との霊能者の言葉を受け、ディレクターの橘、マネージャーの桑田らとともに、未来と春奈は学校に赴くが、そこで恐ろしい事実を知ることとなる―。

レビュー

 「ほんとにあった怖い話」シリーズでJホラーにおける心霊表現の礎を築いた鶴田法男監督がホラー界での偉大なる先駆者であることは言うまでもないが、こと劇場用作品となると何故か2歩も3歩も出遅れた作品を世に送り出す印象が強い。例えば、「リング0バースデイ」は、「女優霊」で明らかに鶴田作品からの影響が窺えた中田秀夫監督による「リング」と「リング2」の続編であり、ドラマ版も含めて貞子の恐怖を完全に描き切り、もはや出涸らしも出なくなった時期に何故か彗星の如く登場してきた映画である。ホラーファン的には鶴田監督の抜擢は遂に真打ち登場といった感じで大いに盛り上がるところであるが、貞子にすっかり飽きてきていた世間の皆様には所詮「リング」の焼き直しをやっているに過ぎず、皮肉なことに鶴田監督がTVの短編作品で生み出してきた恐怖演出の数々が、「リング」や「リング2」のコピーにしか見えないという悲しい効果も生み出していた。

 本作「POV 〜呪われたフィルム〜」も、はっきり言って公開が遅すぎた作品だ。既に国産のモキュメンタリー・ホラーは白石晃士監督の「ノロイ」や「オカルト」があったし、海外のドル箱タイトルである「パラノーマル・アクティビティ」シリーズも既に4作目。誰もがモキュメンタリー・ホラーに辟易していた頃に、アイドル主演の学校を舞台にした心霊モキュメンタリーなど一体誰が見るのであろうか。いくらJホラーの先駆者が監督を務めるとはいえ、いくら何でも今更すぎる作品であることは誰の目にも明らかである。作品の出来自体は決して悪くはなく、携帯電話で配信している架空の番組に投稿された謎の心霊動画が発端となり、学校を舞台にした王道ホラーへと話が展開していく流れは面白い。また、「夏の体育館」に登場した真っ赤な服を着た女性や、「踊り場のともだち」の少年を彷彿とさせる怨霊が、お約束的な“溜め演出”の後に連続して登場するのも鶴田作品のファンとしてはお祭り騒ぎ的な楽しさすら感じさせる。

 ただ、モキュメンタリーでありながら主演の志田未来と川口春奈が思いっきりお芝居の演技をしているのには失笑する他ないし、カメラを持った怨霊が試写会に登場し、怨霊目線でヒロインを追い掛け回す逆転の発想的なクライマックスも、それまで忠実に守ってきた実録心霊テイストとしてのリアリティラインが、最後の最後に崩される感じがして、決して効果的だったとは言い難い。そして、本作が何よりも不幸だったのは、本作と同年に、同じ実録心霊テイストでありながら、恐ろしく漫画的なキャラを登場させ、フィクションであることを最大限に活かしてエンタメ路線に振り切った白石晃士の大傑作「戦慄怪奇ファイル コワすぎ!」が誕生してしまったことだろう。とにかくタイミングが悪い。それに尽きる作品である。

 

 

   「夏の体育館」を彷彿とさせる赤い服の亡霊        カメラを持った亡霊がヒロインを追い掛け回す逆転の発想

 

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