グレーブヤード ゾンビの墓場
監督:マック・ロホステック
脚本:マック・ロホステック
出演:ラモン・カルティンベック、チャールトン・レケット、 マック・ロホストック、ラウス・ロホストック
ストーリー
政府の秘密施設で、ある研究が行われていた。それは、血清を死体に注射し、脳死の謎を研究するものだった。しかし、甦った死体は人を襲うゾンビとなってしまった。施設は全滅し、ゾンビは増殖し、街に溢れ出ていってしまった。トムとアンディたち若者グループは、墓地に肝試しにやってきた。そこに現れたゾンビたち。トムたちはゾンビを退治するが、溢れだした血清を含んだ血液は墓場に流れ、次々とゾンビが誕生するのだった。トムたちはゾンビに囲まれ、山小屋に立て篭もるが、ゾンビたちと闘う決意を固めるのだった。
レビュー
JVDがどっかのゴミ箱から拾ってきてリリースしたジャーマンスプラッター。墓場の近くの小屋を舞台にしているという点では「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」や「バタリアン」に対するリスペクトが多分に窺えるが、「墓場で遊んでたバカがゾンビに食われて死ぬ」以上のことがマジで何も起きないストーリーはこの手の自主製作作品の中でも特にレベルが低く、同じドイツ出身であるシュナースのバカ映画がNHKの大河ドラマに思えてくる程度には中身が無い。
そもそもこの映画は脚本があるのかどうかすらも怪しい。登場人物たちはゾンビに包囲されて小屋から出られない。戦えそうな武器といえば小屋にあるチェーンソーぐらいなものであるが、そのチェーンソーにはガソリンが入っていない。そこで一体どうするのかと思って見ていると、何と登場人物の1人はポリタンク片手に小屋の外へと飛び出し、ゾンビの群れを掻き分けながら離れた場所に停車していた車に辿り着き、その車のガソリンをポリタンクに移して、再び猛ダッシュでゾンビを避けながら小屋に戻ってきてチェーンソーに給油を始める。これをギャグじゃなくてマジでやってる。もうどこから突っ込んで良いのか分からない。恐らく、現場の思い付きだけで撮っているから、こんな矛盾だらけの展開になってしまったのだろう。
しかし、実のところストーリーなんかは別にどうでもよくて、この作品の真髄はとにかくクドイほど描かれるゴア描写にある。特殊メイクの出来自体は褒められたものではないが、真っ赤な血糊と臓物にまみれたスプラッターシーンに全ての予算を一点集中させた製作陣の心意気は買いたい。気が遠くなるほどに長いゾンビの行進シーンも、時折おっぱい丸出しの女ゾンビを写して場を持たせるなどの工夫も感じられるし、何よりも圧巻なのが車の鍵を飲み込んだゾンビの腹を掻っ捌いて鍵を見つけ出す展開だ。登場人物はどのゾンビが鍵を飲み込んだのか誰も把握していないため、「こいつの腹の中には無いぞ、じゃあ次はアイツだ!」みたいな感じで、殺したゾンビの内臓をほじくり回して鍵を探す絵面が何と3パターンにも渡って延々繰り返される。どう考えても尺の無駄遣いだが、その不必要なサービス精神は大いに評価に値するだろう。 |