ハーモニー・オブ・ザ・デッド

監督:ミゲル・アンヘル・ビバス

脚本:ミゲル・アンヘル・ビバス、
ファン・デ・ディオス・ガーディノ

出演:マシュー・フォックス、ジェフリー・ドノヴァン、
クイン・マッコルガン、クララ・ラゴ

ストーリー

 脅威の感染力を持つウイルスによって、人類はゾンビへと変貌し、地球は絶滅寸前の危機に追い込まれていた。9年後、雪に閉ざされた小さな町ハーモニーには、人類最後の生き残りジャックと小さな娘ルー、そして、アルコールで身を崩したパトリックがひっそりと暮らしていたが、9年前の事件により、パトリックとジャックの間には深い溝が出来てしまっていた。そんなある日、絶滅したはずのヤツらが姿を現し、ハーモニーの街は再び恐怖に飲み込まれようとしていた。人類は遂に滅びてしまうのか。

レビュー

 雪に閉ざされた小さな町ハーモニーを舞台にした物静かなゾンビ作品。ゾンビパンデミックの始まりを描いた冒頭部分こそ、既存のゾンビ作品のようなパニック演出を駆使して描かれるが、そこから物語はいきなり9年後へ。かつての騒動で妻を失った男性と幼い娘、そして何やらその家族と過去に因縁のある隣人の男性の3人を中心とした人間ドラマをメインに映画はゆったりと進行する。こう書くと、いかにも退屈で睡魔が襲ってきそうな内容を想像するかもしれないが、何やらワケありな3人の関係性に関するヒントを小出しにしながら描かれる人間ドラマは演出の上手さや役者の演技力もあって意外と引き込まれるし、忘れた頃に登場するゾンビの襲撃も緊張感たっぷりに描かれるので星の数ほど存在するオブザデッド作品の中では間違いなくアタリの作品だと断言しても良いだろう。

 特に面白いのが、雪で絶滅したかと思いきや、独自の進化を遂げていたゾンビの設定だ。寒さに対応出来るように全身が白く分厚い肌で覆われ、聴覚が異常に発達している上に、すばしっこくチョコマカと動き回るという非常に厄介な存在ではあるのだが、代わりに感染能力を失っているので驚くべきことに噛まれても死ななければセーフ。まぁ、言ってしまえばゾンビでも何でもない別次元のクリーチャーなのだが、この全身白塗りの暗黒舞踏集団が、大挙として一軒家に押し寄せるクライマックスの攻防戦はナイト・オブ・ザ・リビングデッド」の遺伝子を正しく継承した面白さに溢れていると言えるだろう。希望を感じさせるラストの後味も良く、個人的には雪の降る日にコタツに入りながら見たいゾンビ映画のベスト作品である。  

 

雪山で逞しく進化した全身真っ白のゾンビ

 

必要最低限の登場人物しか出ない人間ドラマも大きな見どころ

 

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