ナイトメア・アポカリプス:エクサ
Vol.1

総監督:黒井メラ

企画・原作:殺戮系男子

出演:モモサキモヤ、野崎雨汰、宮司道章造、
折原幸平、紫苑、ぺけ丸、やましろもえ

ストーリー

 3年前。研究合宿に山奥へ訪れていた高校生達。その晩、直下型の地震が起き地下から出たガスにより、たった一晩にして生徒らは皆中毒死した…と報道された。しかし、真実は違った。当時、機動隊に所属していた警察の青年・芹沢だけはその真相を知っている。生徒たちはたった1人の少女の手により日本刀で殺害されたのだと。当時のトラウマを抱えたまま芹沢は何の皮肉か殺人課の刑事へと回される事になり、当時の記憶は虚像であると言い聞かされたまま鬱屈とした日々を余儀なくされていた。一方で、女子高生のケイはその日も変わらず日常を迎える「筈」だった。その異変、<パンデミック>はケイ達の担任・林田を媒体にして感染が始まった。歩き回る死体、「ゾンビ」と化した同級生らを前に、ケイと、幼馴染の男子生徒、ダンはその異変に立ち竦む。そこへ突如として現れたのは、3年前に芹沢が遭遇したと言う例の少女・「ララ」であった。ララは無数のゾンビの群れにも怯える事なく立ち回り、ゾンビウイルス発生源でもあるケイ達の学校へと向かおうとするのだが…。

レビュー

 ドラマCDやラジオドラマとは違い、同人による音声作品を一般的にはボイスドラマと呼称するらしい。ボイスドラマにも様々なジャンル作品が存在するようで、今回視聴したのは何とゾンビの出てくるボイドラである。そんな未曾有のジャンル、ボイドラ・オブ・ザ・デッドを何でこのサイトで紹介するのかと言うと、まぁ簡単に説明すれば家の郵便ポストにぶちこまれていたからなのだが、それだとあんまり過ぎるので詳しくはブログ参照

 そんなわけで、友松監督ばりに「いいから黙って見ろ!とわざわざ郵送までしてくれた黒井メラさんの最新ボイドラが本作「ナイトメア・アポカリプス:エクサ」なのだが、まずタイトルが凄い。ナイトメア・アポカリプス:エクサ。ぶっちゃけ、長い。そして、そこはかとなく感じられる中2病感。しかしまぁ、リスペクトして頂いてる愚作「キャンパス・オブ・ザ・インフェルノ」も大概なタイトルだし、人間誰しもティロ・フィナーレ的な無駄に小難しい名前を付けたがる時期というものがあるのだと思う。DVDのパッケージが商業作品と見紛うほどに立派な絵柄で思わずスゲーッ!となったが、再生すると更に驚きの連続。見る前はそもそもボイドラでDVDって何?飯野賢治の「風のリグレット」みたいなの?と思っていたが、まるで映画のように凝りに凝りまくったオープニングや、JVDがリリースしてるクソ映画のクソ吹替とは明らかにレベルの違う声優さんたちの熱演に圧倒されてしまった。というかこれ、本当に同人作品なんですか?ヨイショ抜きで、トーシロの俺にはプロの声優さんによる芝居との区別が付かないんですが…。

 序盤のストーリーは高校生がある日突然ゾンビ騒動に巻き込まれていく筋書きであるが、話が進むとゾンビ発生の原因にはどうやら魔導書ネクロノミコンの存在が大きく絡んでいることが判明し、更にはそれに関連する精霊だか邪神だか知らないが、とにかくキャラの濃すぎる人外の連中が次から次へと物語に介入して何だか中2病っぽい小難しい会話を繰り広げる。実は黒井作品は過去作全てが巧妙に繋がっており、それら全てを余すことなく見ていないとこの中2な会話の内容を含め、作品の全貌を掴むことは到底不可能という非常にクセの強い特徴があるのだ。しかし正直なところ、話が本格的にややこしくなるのはもっと先の話であり、今回のVOL.1の時点では比較的シンプルな学園ゾンビ作品として楽しむことが出来るだろう。生きることに不器用そうな女子高生・ケイがゾンビパニックという異常な状況下に置かれ、戦いへの才能を徐々に開花させていく様は、逞しく生き残る現代的なホラーヒロイン像の王道を踏んでおり、劇中で度々繰り返されるフレーズ「本気になったJKの痛快さを存分に堪能することが出来る。

 劇中で特に好きなのが、担任の教師が変異した異形の怪物・エリューニュス(通称・なりそこない。漢字で書くと成り損ない。ボイドラでこの台詞言っても伝わんないよ!)との対決シークエンスで、ここに関しては「キャンパス・オブ・ザ・インフェルノ」で最も力を入れて書いた朱鬼との戦いを存分にオマージュして頂いてるので、まぁ言ってしまえば今から語る褒めポイントは単なる自画自賛の自慰行為なのだが、高校生らがその辺にあったものを駆使しながら極限状態で知恵を振り絞って戦い抜く様は本当に熱い。熱いのは間違いないのだが、5階の窓から吹っ飛ばされて死んだと思った女の子が非常階段を駆け上ってきて再び戦闘に参加するトンデモ展開は、こうして客観的に突き付けられると実に無茶苦茶で笑ってしまう。しかも、改めて自分が書いた方のやつを読んでみたら更に高い7階から落ちてた。死ぬだろ普通。窪塚洋介かよ。

 ゾンビ作品の特徴でもある「大切な人が感染する」王道的なシチュエーションも劇中で度々描かれ、声だけの作品ながらも脳内にはしっかりと悲しい情景が浮かんでくるのは、黒井さんの巧みな台詞選びや声優陣による質の高い演技の賜物であろう。全員が一丸となって良い作品を作ってやろうという熱意は、商業だろうか同人だろうが、見るものに普遍的な感動を与えてくれるのだ。一体いつまで続くんじゃいとツッコミたくなるクレジット映像を見ると、想像以上に多くの人間がこの作品に関与していることが分かる。ちなみに、スペシャルサンクスには友松監督や当サイトである恐怖映画学校・樹海の名前も入ってた。まさかこの両者が並んでクレジットされる日が来るとは、人生とはつくづく分からないものである。

 

こういった脱力気味のユルいイラスト唐突に挿入される

 

スペシャルサンクスに当サイトの名前が!ありがとうございます

 

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