THE JOYUREI
女優霊

監督:フルート・チャン

脚本:ブライアン・コックス

出演:リシャッド・ストゥリック、ヘンリー・トーマス、
カルメン・チャップリン、ケビン・コリガン

ストーリー

 映画監督のマーカスは、突如襲い来る幻覚に悩まされながらも、それを映画作りのヒントにしていた。そんなマーカスに人生最後のチャンスとも言える新作のオファーが舞い込んで来た。幻覚や恋人の病態で悩んでいた彼はスランプに陥っており、今回の監督オファーは映画界のメインストリームにかえり咲く為にも失敗できない大チャンスなのだ。早速、マーカスはスタッフと共に撮影の舞台であるドラキュラを生んだトランシルバニア高原に飛び、古びた撮影スタジオに乗り込んだ。しかし撮影が始まると映るはずのない女性の人影や謎の機材故障に悩まされることに。この小さなトラブルは日増しに多くなっていき、遂には…。

レビュー

 一体「女優霊」の何をどうイジくれば、こんなヘンテコな映画になるのだろうか。「リング」を初め、「仄暗い水の底から」や「呪怨」「回路」「着信アリ」と、ありとあらゆるJホラーがハリウッドでリメイクされてきたが、原型を全く留めていないという点に於いて本作は他作品の追随を許さない。「女優霊」の不気味な心霊表現の数々は今現在も様々なホラー映画に脈々と受け継がれており、いわば心霊映画の嚆矢となった作品であることは今更言うまでもない。しかし、そのリメイクである本作のジャンルは、もはや心霊映画であるかどうかすらも怪しい。

 映画の撮影中に起こる怪奇現象の根底には大昔に誕生した邪悪な悪魔が存在しているという点では悪魔系ホラーなのだが、その悪魔は自分の子孫を残すため、人間にコブのような種子を植え付けることを目的としており、そういった意味では寄生ホラーとしての側面もある。しかし、その悪魔の嫁である人間の女性は村人たちに惨殺され、残留思念となって現代に現れたりするので実はオリジナル通り心霊ホラーなんじゃないかという気もするが、襲ってくるのは大量のハエだったりするので、もしかしたら蟲ホラーなのかもしれない。ちなみに「サスペリア・テルザ」みたいな悪趣味スプラッターシーンも用意されている上に、終盤では「○○は最初から死んでました」という「シックス・センス」的なオチまである。そんな無茶苦茶な映画が存在するワケねえだろと思うかもしれないが、俺は決して嘘は言っていない。冗談抜きでこういう映画なのである。

 これら全ての要素が上手くブレンドされる筈もなく、出来上がった映画はまるでかき氷の上に天ぷらを乗っけたかのような食い合わせの悪さで、あのシンプルな心霊映画がどうしてこんな闇鍋みたいなことになってしまったのかと観ているコチラも困惑を隠せない。両者の共通点といえば、呪われた場所で映画を撮影していたら人がバンバン死んでいくという点のみであるが、そもそも主人公のオッサンは呪われた場所で映画を撮影する前から既に白目でトリップしながらヤバイ幻覚を見まくってるので、もはや何が恐怖の対象なのかもよく分からない。強いていうなら主人公が一番怖いクライマックスはオリジナル版同様、女の幽霊がジャジャーン!と登場して主人公に襲い掛かるが、ケタケタ笑うだけでとにかく恐ろしかったオリジナル版とは正反対に、全身を無数のハエで覆われた薄汚い女が、股間からへその緒で繋がった胎児をブランブランと揺らしながらガニ股で迫ってくる。このシーンだけは我慢できずに爆笑してしまったので、実はそこまで嫌いになれない映画だったりもする。

 

唯一「女優霊」を感じさせるシーン

 

爆笑するしかない幽霊のビジュアル

 

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送