ディープ・ブルー2

監督:ダリン・スコット

脚本:ハンス・ロディオノフ、エリック・パターソン 
ジェシカ・スコット

出演:ダニエル・サブレ、ロブ・メイズ、
マイケル・ビーチ、キム・シスター

ストーリー

 19年前、アルツハイマー病の最先端治療を開発する目的で、遺伝子操作されたサメを利用したアクティカ計画。あと一歩で目的を達するところまで来たものの、予期せぬ悲劇のため実験は失敗に終わる。 そして今、製薬会社の大富豪カール・デュラントの決断によって、海底の実験施設で研究が再開される。元ネイビーシールズのトレント・スレイターと科学者ダニエル・キム夫妻の参加が決定する中、デュラントはサメ保護活動家のミスティ・カルホーンをチームに加えようとする。だがカルホーンがショックを受けたことに、会社が実験体に使ってるのはオオメジロザメだった。それは予測不能な行動をとる非常に攻撃的なサメで、海中で最も獰猛な肉食動物だったのだ。やがて薬物を投与され巨大化したサメたちは、群れのリーダー格であるベラに率いられ、さらに賢く、素早く、そしてさらに凶暴になっていく…。

レビュー

 何故か19年振りに突如として作られた名作サメパニックの続編。サメと台風が同時に襲ってくる超絶バカ映画「シャークネード」シリーズでサメ映画旋風を巻き起こし、多くのサメ映画中毒者を出したケーブルTV局のSyfyが制作したTV映画なので、大予算の前作と比べるのは野暮というものだが、それでも目に余るほどの低予算っぷりがどうしても気になって仕方がない。低予算でも工夫次第では「ロスト・バケーション」のような緊張感溢れるサメ映画が作れるものだし、低予算続編の代表格である「スターシップ・トゥルーパーズ2」のようにジャンルそのものを変えてしまう大胆な方法もあるが、あろうことか本作は予算のない分際で、何と前作と同じような舞台設定+同じようなストーリーを律儀になぞっている。要するに続編と見せ掛けたリメイクなのだが、ここまで見事な劣化リメイクを見せられるとリアクションに困るというものだ。

 本作の舞台である海洋施設アケイロスは前作のアクアティカを何百倍もショボくした海上にプカプカ浮かぶ掘っ立て小屋のような趣だし、そこで起こる事故も、前作はヘリコプターが墜落する大惨事だったのに対して本作は小型ボートが軽く衝突する程度。それでも安いCGでサメが派手に人間を食い散らかしてくれればそれなりに満足できるものの、何故か本作で主に人間を襲うのはピラニアサイズの赤ちゃんザメので、こうなってくるともはやサメ映画であるかどうかも怪しい。また、前作がB級映画ファンに高評価を得た最大の理由に、サミュエルが演説中に食われる、ヒロインが改心した直後に食われるといった「意外な人が意外なタイミングで突然死ぬという定石崩しがあったのだが、そういったサプライズ的な要素も本作では序盤にほんの少しだけ用意されているだけで、あとは概ね予想通りの展開が最後まで続く。ちなみに人気キャラだったコックに相当するキャラもいない。恐らく、製作陣は前作の何がウケたのか全く理解していないのだろう。

 そもそも、本作は余計なアレンジが多すぎる。例えば冒頭、前作では逃げ出した実験ザメに一般人が襲われそうになったところを、主人公が間一髪で助け入るというシークエンスだったのに対し、本作では間に合わずに一般人は実験ザメの餌食になってバラバラになって死ぬ自分たちが生み出したサメが人を殺してしまったのだから普通に考えて大問題であるが、特にその辺の責任問題は言及されずに終わる。また、サメを研究する理由も前作では「アルツハイマーの特効薬作成」という理由付けがされていたが、本作は「日々進歩するAIに人類が支配されるのを防ぐため、知能向上の薬を開発する」という大変バカバカしいものに改悪されている。ゾンビ映画以上に殺傷能力の高い、強力な地雷原となりつつあるサメ映画というジャンルの中では比較的マシな部類であることは確かであるが、前作のファンが喜ぶ要素ははっきり言って皆無と言っても良い。本作を観賞後に改めて前作のDVDを鑑賞したが、まるで低予算で撮られた「ディープ・ブルー2」を大予算でリメイクした作品が「ディープ・ブルー」であるかのような不思議な時空の捻れさえ感じた。前作とほとんど同じ物語を描いているからこそ、チープな部分が異常に際立って見える、ダメな続編の典型的な例と言っても良いだろう。

 

 

あまりにもショボすぎる海洋施設アケイロス

 

面白いシーンもあるにはあるが、基本的には劣化リメイク

 

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