本当はエログロいイソップ寓話
シザーチンP

監督:友松直之

脚本:友松直之

出演:範田紗々、八ッ橋さい子、しじみ、
はやしれん、嶺生まや、美村伊吹、黒木歩

ストーリー

 誰にもヤラせてもらえない出刃亀太郎は新婚初夜からセックスレス、しかも妻は浮気相手とヤリまくり。趣味の盗撮からその事実を知った亀太郎は、浮気妻を惨殺して凶器の包丁とともに山中の滝壺に遺棄。「オマエが落とした包丁は金の包丁ですか銀の包丁ですかそれとも普通の包丁ですか?」 浮き上がった妻の死体に呪われて、股間に3本の包丁を生やし、ヤッた相手を図らずも一撃必殺にしてしまうシザーチンPと成り果てた亀太郎は、官憲の追及を逃れて山に篭る。おりしも連続カップル日本刀惨殺事件が発生。その重要参考人と目される亀太郎は、我が身の潔白を証明するため、真犯人のバニーガール剣士・因幡宇佐子を追う。

レビュー

 「レイプゾンビ」の友松直之監督による待望の新作であるが、一体、この映画の何を語ればいいのかさっぱり分からない。ひょんなことからチンコが包丁になってしまった男・シザーチンPが女とヤれずに苦悩した末に、マンコがギロチンの女と結ばれる。存在するストーリーといえば本当にそれだけ。こんなクソガキの妄想レベルの話が1本の映画になり、あまつさえDVDまでリリースされてしまうのだから、日本という国もまだまだ捨てたもんじゃないと思わせる。日本に何十人かは存在している友松ファンからのクラウドファンディングで誕生した映画であり、少ない額ではあるが自分も出資させて貰った身ではあるのだが、完成した映画が予想の遥か斜め上を行く代物だったので正直反応に困っている。頂いたサンプルDVDを何度も観たが、面白いのかつまらないのか、自分でも未だに良く分かっていない。そもそもホラー映画であるのかどうかすらも怪しい。一言で表すならば、チンコ悲話だ。

 筋書きは前述の通り、単純明快なバカ映画の体裁を取っているのだが、映画の構成はとにかく複雑怪奇。時系列は何度も前後するし、現実か妄想か判別不能なシーンが多い上に、夢オチまで頻発する。それに加え、話の腰を折るような友松節全開のナレーションがクドい。いつも以上にクドい。出歯亀という言葉の悲しき由来から始まり、痴漢冤罪や少子化問題。恋愛禁止のアイドルを応援するオタクの悲しさを語ったかと思えば、そこから聖母マリアの処女懐妊や、戦前の日本における天皇の神格化にまで話が発展し、最終的には男は生まれながらにして性的弱者であり、ヤラせない女は殺しても良いという無茶苦茶な結論に落ち着く。これらの暴論が「シン・ゴジラ」の登場人物みたいな早口で一気に捲し立てられるので、「何言ってんだこのアホ監督とか一瞬でも思ってしまうと完全に置いて行かれる。実際、俺は何度も置いて行かれたので途中で3回ぐらい巻き戻した。また、見ている時の精神状態によっては「ほほう、確かに」とか「なるほど、殺しても良いのかなどと妙に納得してしまうこともあり、もしかしたら軽い洗脳効果もあるヤバイ映画なのかもしれない。

 ヤバイと言えば、本作のゴアシーンも相当ヤバイ。主人公の非モテ男君は、婚活パーティーでゲットした嫁が男とハメ狂ってる浮気現場を目撃したことで逆上し、風呂場に追い詰めて嫁を惨殺するのだが、生きたまま手首を切り落とし、首を切断する解体作業を低予算とは思えぬほどの生々しさで描いているので、スプラッター馴れしている人間でも軽い胃もたれを起こしそうになる。それと同時進行で、プレゼントの花束を断られたオタクが地下アイドルをメッタ刺しにするシークエンスも描かれるが、そっちもそっちで2016年に起きた小金井ストーカー殺人未遂事件をあからさまに意識した内容で、ふざけた映画だと油断していると急に現実に起こった凄惨な事件とリンクしてくるものだから思わずギョッとさせられる。あと、物語の重要なキーパーソンとなっているバニーガール剣士とシザーチンPのチャンバラアクションから、「君の名は」のパロディへと雪崩れ込む怒濤のクライマックスは、挿入歌の効果もあって異常なまでの感動を生む。何でこんな映画で泣かなきゃいけないんだと思いつつも、溢れる涙を抑えきれないのは、きっと自分が「君の名は」をちゃんと観ていないせいだからだと信じたい。

 

ゴアシーンに手を抜かないのが友松映画の素晴らしさ

 

ヤリたいけどヤれない!「シザーチンP」はチンコ悲話である

 

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送