ディノクロコ

監督:ケヴィン・オニール

製作総指揮:ロジャー・コーマン

脚本:フランシス・ドエル、ダン・アクレ、
ジョン・ハックエート

出演:コスタス・マンディロア、ブルース・ウェイツ、
チャールズ・ネイピア、マット・ボーレンギ

ストーリー

 遺伝子生物学者の手により蘇った巨大なクロコダイル。水陸両棲、獰猛な食欲を持つこの最凶のプレデターが湖に放たれた!何も知らない湖水浴客を次々に喰らい、さらにさらに巨大化するモンスターに人々は大パニック!そして銃で武装した軍隊が退治に乗り出すが、彼等も奴のちょっとした餌にしか過ぎなかった…。

レビュー

 ロジャー・コーマン御大によるワニワニパニック映画であるが、これが恐ろしく出来が良い。現代に甦った先史時代の巨大ワニが研究所を脱走するというお約束のストーリーながらも、ワニのくせに2足歩行でスーパーダッシュしながら追い掛けてくるディノクロコのCGは、一連のコーマンプロデュースによる脱力恐竜人形劇に比べたら本気で恐怖を感じさせるモンスターに仕上がっているし、余計な登場人物を一切出さないソリッドな構成にも好感が持てる。また、少しダレてくる中盤で訪れる、ある物凄い展開が映画のトーンを一変させるほどの強烈なテコ入れにもなっており、記録よりも記憶に残るタイプのモンスター映画であることは間違いないだろう。

 動物保護局に務めているヒロインが、父親の保安官とアーティストの元カレ、腕利きのハンターらと協力し、脱走した巨大ワニを追うという、基本的にはスピルバーグ先生によるモンスター映画の教科書「ジョーズ」のプロットを踏襲した物語が展開されるが、前述した通り、この映画にはスピルバーグ先生も思わず頭を抱えるであろう、不良学生による校則違反が存在している。この際なのでネタバレも辞さずに書いてしまうが、とりあえずこの映画は普通に子供が死にますそんな映画は沢山あるだろうという意見もあるだろうが、どうか落ち着いて俺の話を聞いてほしい。例えば「要塞警察」でもいたいけな少女が残虐なギャングに射殺されるが、あれは突然出てきたモブキャラみたいなものなので、そこまでの悲壮感は無い。本作で死ぬのは序盤から登場しているヒロインの元カレの弟ちゃんである。「ミスト」でも主人公の息子が犠牲になるが、あれは最後の最後で観客をドン引きさせるためのオチ担当みたいなものだし、子供が絶命する瞬間こそ描写されていないので、本作に比べたらまだまだ生ヌルいと言える。何せ、本作の弟ちゃんが死ぬのは物語の中盤、それも頭部だけを残して豪快にワニに食われる瞬間をカメラが克明に捉えているのだから。

 ちょっと想像してほしい。「ジュラシック・パーク」のティムが豪快に頭からティラノサウルスに食われる姿を。「トレマーズ」のミンディがホッピングごとグラボイズに飲み込まれる様を。この映画は、そんな嘗ての巨匠たちが越えられなかった壁を軽々と乗り越えてくるのだ。更に凄いのが、綺麗にチョン切れた弟ちゃんの生首と、元カレとのセックスを終えて満足気な表情をしているヒロインの表情がオーバーラップする悪趣味な演出だ。弟ちゃんがワニから必死に逃げている時に、何も知らない兄貴はヒロインとセックスをしていたのである。単純明快なお気楽モンスターパニックだと思って鑑賞していたのに、いきなり「アンチ・クライスト」みたいな話になるので、初めて観た時は突然バットで後頭部をぶん殴られたような衝撃を受けた。勿論、そこからクライマックスに至るワニ退治への流れも抜かりのない面白さで、それまではクソの役にも立っていなかった元カレの「溶接アーティストというスキルが意外なところでワニ退治に直結していたり、一番の元凶がバックリと爽快に食われたりと、カタルシスに溢れた展開の数々が堪能出来て文句なしの楽しさだ。コーマン御大ありがとう観賞後にそんな言葉を呟きたくなる1本である。

 

 

こんな可愛らしい子供が…

 

大変なことになる

 

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