バイオハザード
ザ・ファイナル

監督:ポール・W.S.・アンダーソン

脚本:ポール・W.S.・アンダーソン

出演:ミラ・ジョボヴィッチ、アリ・ラーター、
ショーン・ロバーツ、ルビー・ローズ、ローラ

ストーリー

 人工知能レッドクイーンとの戦いに敗れ、瓦礫の中で独り目を覚ましたアリス。そんな彼女の前に廃墟のコンピューターを通じてレッドクイーンが現れ、48時間以内に人類は滅びること、そしてそれを食い止める方法を告げる。敵からの思いがけない言葉に半信半疑のまま、アリスはラクーンシティへと向かう。滅亡へのタイムリミットが刻一刻と迫る中、命を捨てて最後の戦いに身を投じるアリス。やがて明らかになる、彼女にまつわる重大な秘密とは?想像を絶するファイナル・ファイトの果てに見えるのは、希望か、それとも絶望か…!?

レビュー

 ついに迎えた最終作である。思えば、1作目が日本で上映されたのは2002年の夏。ゾンビ映画は冬の時代を迎えており、人肉を食い散らかす生ける屍の映画が全国公開することは極めて稀なケースであった。当時、ロメロの「ゾンビ」のDVDを「何か気持ち悪くて面白そうだなぐらいの軽い気持ちで衝動買いしてしまったことから、すっかりロメロの呪いに掛かってしまった高校2年の私は、映画の出来はともかく、生まれて初めて目にする大スクリーンに写し出されたゾンビたちに大興奮したのを今でも覚えてる。本作のヒットが起爆剤となり、そこそこ面白いものから時間と金をドブに捨てた気分にさせられるものまで、ありとあらゆるゾンビ映画が「ワールド・ウォーZ」のゾンビみたいな勢いで日本に雪崩れ込んでくることになるが、完全にゾンビ映画に取り憑かれていた私はそれらを片っ端からキャッチ&リリースしてはノートPCのワードに感想を書きためていた。それをネット上に公開してしまおうと血迷った考えに至るのは、もうちょっと先の話である。

 そんな特別な思い入れのあるシリーズも遂に終わりを迎える。このシリーズとの付き合は長いだけに、広げた大風呂敷を畳む気が無いことも、途中で消息不明になったキャラの顛末を描く気が無いことも、結局ポールは自分の嫁を自慢したいだけだということも分かっていた。分かってはいたはずなのだが、本作を鑑賞した後は怒りしか沸いてこなかった。それ程までに、本作は今までシリーズを真面目に観てきたファンに対して不誠実な作りなのである。まず冒頭。元凶となったTウイルスは、マーカス博士とやらが難病を患った娘アリシアを治療するために開発したことが明かされるが、この時点でシリーズのファンは大混乱に陥る羽目になる。何故なら、Tウイルスの誕生秘話は既に2作目でやっており、そこではアシュフォード博士が難病を患った娘アンジーを治療するために開発したことになっていたからだ。いや、これはきっと、アシュフォード博士の開発したウイルスをマーカス博士が横取りしたのだろうと強引な解釈も出来なくはないが、いずれにせよ全く同じ設定の父娘を2人も出すのは強烈な既視感に襲われるのでやめてほしい。また、レッドクイーンのインターフェイスにもアリシアの容姿が用いられていたという後付け設定が入るが、これだって2作目のノベライズでアンジーがモデルだと明言されていた筈である。あくまでノベライズ版での話であるが、これまで映画の説明不足な点を補完してきたノベライズ版の設定すらも簡単に覆すポールの荒業にはある意味で感心させられる。ちなみにアリシアを演じてるのはポール監督とミラ嫁の間に生まれた愛娘のエヴァちゃんです。よろしくお願いします。

 その後、前作のクライマックスでずらりと揃ったゲーム版の主要メンバーは1人たりとも登場せず戻ったと思ったアリスの超能力もやっぱり戻って無かったことが仄めかされる。それらは全てウェスカーの罠だったらしいのだが、一体なにが罠なのかはサッパリ分からない。ここでちょっとアリスの超能力について整理するが、彼女は2作目のラストでTウイルスのよく分からん作用により超能力に目覚め、3作目で向かうところ敵無しの無双っぷりを発揮するものの、それを脅威に感じたウェスカーにより4作目冒頭で超能力を無効化する薬を打たれて力を失う。ところが、やっぱり超能力は必要だと感じたウェスカーにより5作目ラストで超能力の無効化を無効化する薬を注射されるものの、実はそれが罠でアリスは超能力の無効化を無効化できていなかったということになる。駄目だ、整理するはずが余計にワケが分からなくなったぞ…。

 ストーリーに関しては多少なりとも盛り上がる箇所はある。最終決戦の舞台が1作目のハイブに戻るのは上手いと思うし、そこに辿り着くまでに大量のゾンビ犬に追いかけ回されるシークエンスは、ゲーム版1作目の多摩川で撮影された実写オープニングの再現になっていて、ちょっとしたノスタルジーに浸れることは請け合いだ。だが、そのハイブで明かされる真相に、観客はまたしても大混乱に陥ることになる。どうやら、ウイルスの流出はアンブレラが故意にやったものであり、幹部連中は新たな世界を創造するために地下でコールドスリープ状態にあるらしいのだ。もう一度言うが、アンブレラはウイルスを故意に流出させたのだ。じゃあ1作目でスペンスが起こしたハイブでの流出騒動は何だったんだという疑問がまず沸いてくるが、恐らくそれは幹部も予想出来なかったことであり、その後にハイブからラクーン市街へ流出したことが故意だったのだろうと強引に解釈したとしても、じゃあ何でアンブレラは街ごとミサイルで滅菌して事態の沈静化を図るような真似をしたんだという新たな疑問が沸いてくるが、結果的にウイルスは世界中に広がっているので、アンブレラはあくまでパフォーマンスとしてウイルスを完全に滅菌しない程度に、地下に眠る自分の会社の幹部を殺さない程度に、ラクーン市街へミサイルを撃ったのかと無理矢理解釈することも出来なくもない。冒頭のウイルス誕生秘話と言い、何だか不必要なところで無駄にこちらの頭を使わせてくる映画である。

 アクションシーンはこれまで以上にカット割りが激しく、一体何が襲ってきてどうやって倒したのかもよく分からないし、アリスとクレアを除く脇役勢も個性が薄すぎて一体どんな奴がいてどこで死んでいったのかもよく分からない。何か日本で「ウフフ、オッケー☆」とか言いながら愛想を振りまいてる外タレが出ていたような気もするが、秒速でゾンビの群れに飲み込まれた上に、仲間は誰ひとりとして彼女が消えたことを気にかけていないので、やっぱり気のせいだったのかもしれない。3作目でサイコロステーキになったアイザック博士を得意の「実はクローンでした」オチを使って復活させたのは良いが、どう考えてもコイツはラスボスの器じゃないし、これまで散々アリスたちを翻弄してきたウェスカーはドアに挟まって死ぬ。しかも、死ぬ直前に「助けて…」と泣き言まで漏らす。アイザックとのグッダグダな殴り合いに勝利したアリスはゾンビを瞬時に殺せるワクチンを散布させてアッサリ一件落着。おまけに、アリスはアリシアの粋な計らいで抜け落ちていた幼少時代の記憶を手に入れる。実に感動的なクライマックスであるが、そこで流れる映像はポール監督とミラ嫁の愛娘・エヴァちゃんの成長記録ビデオである。確かに可愛いが、他人のホームビデオを大スクリーンで見せられるこちらの気持ちも少しは考えて欲しい。というか、このシーンに限らず映画全体を通しての印象は「ポールが撮影したミラ嫁とエヴァちゃんの親子徒競走以外の何物でもないので、ポールファミリーのことが悶え死にそうなくらい大好きだという人は心から楽しんでご鑑賞ください。以上。

 

   

   娘のエヴァちゃんは映画初出演です。宜しくお願いします    ゲーム版「6」のブラッドショットらしいが全然分からない

 

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