フィフス・ウェイブ

監督:J・ブレイクソン

脚本:スザンナ・グラント、アキヴァ・ゴールズマン、
ジェフ・ピンクナー

原作:リック・ヤンシー

出演:クロエ・グレース・モレッツ、ニック・ロビンソン、
ロン・リヴィングストン、マギー・シフ、アレックス・ロー

ストーリー

 ある日、地球から400km上空を巨大な飛行物体が周回し始めた。人類はこの知的生命体を<アザーズ>と呼んだ。ニュースでこの衝撃的事実を知った女子高生のキャシーの平穏な日常は、この日を境に崩れ去って行く-。圧倒的知能を持つ生命体<アザーズ>により4度の攻撃を受け、人類の99%が死滅。壊滅状態となった地球で生き残ったキャシーは、人間と見分けのつかない<アザーズ>への恐怖に支配されながらも、第5の波を止めるべく彼らの秘密を探り始めるが。

レビュー

 クロエ主演による宇宙人の地球侵略スリラーと聞けば、誰もがクロエ演じる強気な女の子が「くだばりな、このオチンポ頭!などと暴言を吐きながらエイリアンの頭を薙刀で華麗にチョンパしてドヤ顔するような一大バイオレンス巨編を想像するだろうが、実際は全然そんなことはなくて本作に登場するクロエは極普通の女の子だし、目を背けるようなゴアシーンなどは1秒たりとも登場しない。それもその筈で、本作の原作は日本で言うところの山田悠介作品的なメリケンの中高生に人気のヤングアダルト小説らしく、クロエ自身もこの原作の大ファンということもあり、「この物語のヒロインは私とよく似ているので是非演じてみたい!」という熱心な後押しもあって製作陣は映画化に踏み切ったという経緯があるのだ。それを踏まえて鑑賞すると、「ああ、クロエちゃんは、イジメの仕返しで同級生にゲロを吐かせたり念動力で飛ばした包丁で母親をメッタ刺しにするような奴ではなくこういう子供向けのライトなSF作品にハマっちゃう普通の女の子なんだなぁ」と微笑ましい気持ちにさせられるから不思議である。そう、どんなに映画がつまらなくても

 内容に関してはとにかく子供騙し突如上空に現れた巨大UFOは「インデペンデンス・デイ」みたいにド派手に街を破壊することなく、5段階の攻撃を順番に繰り出していく。まず1段階目は電磁パルスで地球上の電子機器を使用不能にし、2段階目で地震と津波を起こし、3段階目で鳥インフルエンザをばら蒔く。ここまでの展開はダイジェスト映像の如く約15分でちゃっちゃと処理されてしまうが、驚くべきことに映画的に盛り上がる箇所はこの約15分のみで、あとはひたすら最後まで盛り下がる一方である。母親を失いつつも、3段階の攻撃を運良く生き延びたクロエは、父親と弟と共に難民キャンプへ身を寄せるが、そこに電磁パルスでエンジンすら掛からない筈の車が何台も到着する。彼らは軍人で、安全な基地に避難民を移送させる為に来たらしいが、何故か子供だけをバスに乗せて大人は別の場所に隔離。軍人は大人たちに4段階目の攻撃が始まった事を説明。どうやら宇宙人が地球人に寄生し、この中にも宇宙人が紛れ込んでいるとのことらしい。すったもんだの末、軍人はクロエパパ含む大人たちを皆殺しにし、バスに乗せられた弟ちゃん含む子供たちは宇宙人狩りの兵士としての教育を受けさせられる。この時点で軍人の正体が宇宙人で、子供たちは地球人狩りをさせられるであろうこと、そして、それこそがタイトルにもなっている5段階目の攻撃であるというオチが速攻で読めてしまうが、ここはドキドキしながら小説のページをめくるクロエちゃんの気持ちになりきり、知らぬ存ぜぬの精神で行くのが正しい鑑賞法である。

 愛する弟ちゃんやクロエ初恋の爽やか王子系男子が、清水公園のアスレチックで遊んでんのかとツッコミたくなるような訓練を受けて着々と兵士としての道を歩む中、これまた運良くバスに乗らずに済んだクロエはひたすら森を彷徨う。道中で何者かに狙撃されて大怪我を負うが、そこで助けてくれたのはマッチョなワイルド系男子。何この人!?超怪しいんですけど〜!と最初は警戒していたクロエであるが、彼の豪快な薪割りや川で水浴びしているセクシーショットを目撃したことにより完全にメスの顔付きに。ダメよ、私には心に決めた王子系男子がいるの…と思いつつも、クロエは乗り捨てられた廃車の中でワイルド系男子と愛し合うが、悲劇は朝チュンの際に訪れる。見るからに怪しかったワイルド系男子の正体は案の定宇宙人だったようで、激おこのクロエは男を放置して弟の待つ軍事施設へ。軍人=宇宙人というこの物語渾身のオチに気付いて反逆していた王子系男子や弟ちゃんとも合流を果たし、クロエとのセックスにより正義感に目覚めたワイルド系男子も駆け付け、何をどうやったのか一切説明は無いが軍事基地をドカーンと大爆破。私たちの戦いはこれからよ!というところで物語は幕を閉じる。いかにも3部作ぐらいを想定してそうな作りであるが、続編の話を一切聞かないところをみると、恐らく本国でも大コケしたであろうことは容易に想像が付く。しかし、2人のイケメンの間で揺れ動く普通の女の子を楽しそうに演じてるクロエを見てると、そんなことは大した問題では無いということに気付かされるだろう。映画は絶望的につまらない。でも、クロエが幸せそうだからオッケーとにかくそれに尽きる作品である。
 

一番面白そうな部分がダイジェストという斬新な構成

 

地球の危機なのにイケメンとイチャついてばかりのクロエ

 

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