超科学実験体
ゾンビロイド

監督:マルコ・リストーリ、ルカ・ボニ

脚本:マルコ・リストーリ、ルカ・ボニ

制作総指揮:ウーヴェ・ボル

出演:アンドリュー・ハーウッド・ミルズ、ダン・ヴァン・ハッセン、
アーロン・スティールストラ、アリー・マクレランド

ストーリー

 第二次世界大戦末期。ドイツ軍の偵察に派遣された米兵のアダムスたちは、敵の奇襲により負傷し、逃げ場を失っていた。深い森を抜けた彼らは廃墟を見つけ、治療のため中へと足を踏み入れる。不気味な雰囲気を持つその廃墟には、人がいた形跡はあるが、物が散乱し、血まみれのベッドが無数置かれていた。すると突然、何者かが彼らに襲いかかり、兵士たちは次々と無残な死体に変わってゆく。実はこの廃墟は、ヒトラーが設置した極秘の人体実験施設で、形勢逆転を狙うナチスの最終兵器として、世にも恐ろしい「ゾンビ兵団」が開発されていたのだ…。

レビュー

 こんなタイトルだが、原題は「Zombie Massacre2」。つまり、FPSゲームを映画化した「ZMフォース ゾンビ虐殺部隊」の続編にあたる作品なのだが、原作ゲームはおろか前作の内容とも全く関連性は無い。舞台は第二次世界大戦末期のドイツ領で、連合軍の小隊とドイツ軍が極秘裏に開発していたゾンビ兵士との戦いを描いた、いわゆるナチスゾンビ系作品の1本である。この監督コンビの代表作である「イーターズ」「ZMフォース ゾンビ虐殺部隊」の2本は、ウーヴェ・ボル仕込み(なのかどうかは不明)のバカさ加減とベタなゾンビ映画な要素が程良くマッチしていた佳作といった印象があったので、本作に対する期待値もそれなりに大きかったのだが、今回はナチスのマッドサイエンティストが開発したゾンビ兵士が襲ってくるという偏差値の低い物語にも関わらず、何故か映画のトーンを思いっきりシリアスなものにしてしまったのが仇となってしまい、演出力の無さが全面に渡って露呈してしまっている何とも微妙な作品となってしまった。

 とはいえ、物語の前半部分はそれほど悪い出来ではない。負傷した兵士を抱えた小隊が敵軍に怯えながら身を隠す場所を探すまでの緊張感や、満を持して登場するゾンビ軍団の造形、景気良くドバドバ吹き出る流血シーンなどは水準以上の出来ともいえるし、仲間を失った主人公がたった1人になってしまう展開も絶望感に満ちていて興味を持続させてくれる。だが、中盤で女性の生存者が唐突に現れた辺りから物語の雲行きが怪しくなり、次第に現実なのか妄想なのか分からないシーンが増えていく。この手の展開は、上手くいけば「デモンズ95」のような傑作が生まれる可能性を秘めているが、失敗すれば「ゾンビハンター2022」みたいな公開オナニーになってしまうという大変デンジャラスなものであり、言うまでも無く本作に於いては後者に該当する。

 ラストも、全ては死と隣り合わせにある戦場という極限状態の中で、精神を病んでしまった主人公による妄想というオチにしたかったのだろうが、演出がヘタクソ過ぎて何だか歯切れの悪いものになっており、下手に知的な部分を出そうとして盛大にスベっている感がある。前作同様のテイストで、軍人らが時折ジョークを交えながらゾンビを次々と撃退し、ナチスの陰謀をぶっ潰すような単純明快な話にしてくれれば文句も無かったのだが、今回ばかりはさすがに擁護のしようのない出来である。製作総指揮のウーヴェ・ボルが一体この作品にどこまで関与しているのかは不明であるが、とりあえずここは全部ボルが悪いということにしておこう。ちゃんとやれ、ボル。

 

ゾンビの造形やゴアシーンの出来は素晴らしいです

 

全ては精神を病んだ主人公による妄想オチ?

 

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