劇場版

〜ゼロ〜

監督:安里麻里

脚本:安里麻里

原作:大塚英志

出演:中条あやみ、森川葵、小島藤子、
美山加恋、山谷花純、萩原みのり

ストーリー

 閉塞感漂う山間の町にある女子学園。アヤが寄宿舎の部屋に籠るようになってから数日後­、生徒が次々と失踪する事件が起こる。姿を消した生徒たちは皆、アヤにそっくりな少女­が写った1枚の写真がきっかけで、アヤの“幻”に悩まされていた。“幻”は耳元で囁き­かける―「お願い、私の呪いを解いて…」。学園には、午前零時に、女の子だけにかか­る呪いがあるという言い伝えがあった。その頃、アヤの“幻”を見るようになっていたミ­チの前に、本物のアヤが姿を現わし、事件の謎に迫ろうとするが…

レビュー

 コーエーテクモゲームスの人気ホラーゲームの実写化。メガホンを取ったのは「トワイライトシンドローム デッドゴーランド」に続いて2度目のゲーム映画化の挑戦となる女流監督の安里麻理。…とはいっても、今回も原作ゲームとの関連性は皆無といっても良く、無理矢理共通点を探すとすれば、映画全体にどこか百合的なムードが漂っていることと、怪奇現象の背景には何やら怪しげな儀式が関係しているという点だけであろう。安里監督のこれまでの作品を振り返って見ると、「トワイライトシンドローム デッドゴーランド」では引き篭もり少女とコギャル、「呪怨 黒い少女」では霊にとり憑かれた娘を持つ母親と妹の女性霊媒士など、女性同士の絆が印象的に描かれることが多く、女子寮が舞台となる本作でも美少女たちがキャッキャウフフしている姿がクドいくらいに描かれているので、その一点に於いては監督の手腕が遺憾なく発揮されているといえよう。

 女子寮が舞台のホラー映画といえばアルジェントの「サスペリア」であるが、本作では冒頭からイントロクイズをしたら誰もがピンポンを連打して「ゴブリン作曲のサスペリアのテーマ!」と即答したくなる丸パクリのスコアが流れ、これから美少女たちを襲う惨劇に弥が上にも期待が高まる。ところが、本作で起こる怪奇現象といえば女子生徒の綺麗な死体が川を優雅に下っていたり、炎天下で校長先生の長すぎる話を聞いて貧血を起こす児童ばりに講堂で生徒らがばったばったと倒れたりするだけなので、とりあえずホラー映画らしいシーンは劇中で1つもない。登場する幽霊も色白の超絶美少女なので全く怖くない。例え夜中に目を覚ました時に突然枕元に立っていようが全く怖くない。こんな幽霊が現れたら、むしろ喜ぶ人が大半なのではなかろうか。パンフレットに記載されている安里監督のインタビューによれば、本作はピーター・ウィアー監督の「ピクニックatハンギング・ロック」をストーリーの下敷きにしているようで、確かにそれなら映画全体を支配する耽美的な雰囲気やホラー映画要素が皆無なところにも納得がいく。だが、それなら冒頭でゴブリンそっくりのBGMを流してホラーファンの期待を無駄に煽るなと言いたいし、恐怖描写に定評のあった原作ゲームの精神をあまりにも蔑ろにし過ぎているような印象も受ける。

 じゃあ、「零」とは完全に切り離した作品と考えれば和製「ピクニックatハンギング・ロック」として手堅い出来だったのかと言うとそれが全くそうでもなく、物語中盤で明らかに映画のテイストに似つかわしくない出立ちの男女2人組が登場し、主要キャラそっちのけでイタコ芸を披露して事件の解決に一役買うという、それまで丁寧に構築した耽美的な世界観を破壊する理解不能な展開があったりする。どうやら、このコンビは本作の原作小説を手掛けた作者による「黒鷺死体宅配便」という漫画のキャラとのことであるが、「零」の映画を観に行く層がそんな意味の分からないコラボを喜ぶとは到底思えない。ホラー映画ファンもゲームファンも確実に置いていかれるこの作品。とりあえず「黒鷺死体宅配便」の愛読者と、主演女優の熱心なファンであるのならば観ても損は無いのかもしれない。

 

百合が好ぬほど好きだ!という人にオススメしたいのだが…

 

こいつらの登場で雰囲気がぶち壊しになるんだよなぁ…

 

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