貞子3D2

監督:英勉

脚本:保坂大輔、杉原憲明

原作:鈴木光司

出演:瀧本美織、瀬戸康史、大沢逸美、
平澤宏々路、大西武志、石原さとみ

ストーリー

 “呪いの動画”事件から5年。鮎川茜と安藤孝則の間には1人娘・凪が生まれていた。しかし、茜は出産後に死亡し、孝則は妹の楓子に凪を預け隠遁生活をしていた。その頃、謎の動画による自殺騒動が再び世間を賑わす。謎の自殺は必ず凪の周りで起こっていることに気付いた楓子は、一連の事件に凪が関連しているのではないかと疑い始めるが…。

レビュー

 貞子がスクリーンから飛び出すというアイデア一発勝負で、肝心のストーリーはと言えば「ゾンビ3」とタメを張れそうなくらいスッカラカンだった前作であるが、「リング」をよく知らない小中高生にはウケたのか、Jホラー(とも呼びたくないが)としては異例の大ヒットとなってしまったので、急遽作られた続編。監督は前作同様に「ハンサム☆スーツ」の英勉であるが、特筆すべき点は脚本に「戦慄迷宮3D」「ラビット・ホラー3D」の保坂大輔が参加しており、驚くべきことに「貞子3D」の続編なのにちゃんとしたストーリーが存在している。

 物語は、前作で鉄パイプを駆使して貞子の群れを撃退したヒロインの娘である凪と、彼女の母親代わりに同居している瀧本美織演じる叔母の楓子を中心に描かれる。凪の周囲にいる人間が次々と不審死を遂げていることから、どうやら凪には念じただけで人を死に追いやる能力があるのではないのかと疑惑に駆られる楓子は、前作で呪いの動画をばら撒いて死んだ筈なのに特に何の説明も無く普通にピンピンしている死刑囚の柏田と面会し、驚愕の事実を知ることになるというのが主なストーリーであり、子供が貞子のような能力を持つという点では何となく「リング2」にも似ている話である。

 と、このように前作とは比較にならないほどにマシな物語が存在しているのにも関わらず、本作を観終わった時の印象が前作と少しも変わらないのは、やはり監督の英勉の為せる業なのだろうか。演出のトチ狂っている箇所があまりにも多すぎて、ちっとも話に集中できないのは致命的と言っても良い。どういうわけだか、この映画の登場人物は誰も電気を点けようとしない。出産中の妊婦がいる病院だろうが、ノートPCでネットサーフィンをしている時だろうが、晩御飯のオムライスを食っている時だろうが、風呂に入る時だろうが、何故か誰も電気を点けない。東電の計画停電なのかネルフのヤシマ作戦なのかは知らないがとにかく誰も電気を点けない。暗闇のシーンは青一色の「ハナブサ・ブルー(今考えた)」で統一されており、これがこの映画のイメージカラーなのかどうかは知らないが、とりあえず気になって仕方が無いから誰か電気を点けてほしい

 また、恐怖描写も前作以上に理解不能なものが多く、特に貞子へと変異した心理学の教授が髪の毛にシュレッダーを噛ませたまま頭をブン回して攻撃してくるのは誰がどう見たってギャグであり、本気でこれを観客が怖がってくれると考えていたのならば、考えた奴は相当頭がおかしい。クライマックス、突然現れた井戸から大量の水が部屋いっぱいに溢れ出るシーンも、明らかに女優や子役に配慮して温水を使っているのがバレバレ(湯気が出てる)であり、同じく大量の水が重要なアイテムとして登場した「リング2」のクライマックスと比べるのも失礼なほど緊迫感が無い。仮に次回作があるのだとしたら、もう少しホラーに精通した人を監督として人選してくれることを願うばかりだ。

 

そんな暗い部屋で電話なんかしてんじゃねーよ

 

だから飯食う時ぐらい電気点けろって!

 

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