オペラ座の怪人

監督:ダリオ・アルジェント

脚本:ダリオ・アルジェント、ジェラール・ブラシュ

原作:ガストン・ルルー

出演:ジュリアン・サンズ、アーシア・アルジェント、 
アンドレア・ディ・ステファノ、イストヴァン・ブービック

ストーリー

 19世紀末。パリのオペラ座では“ファントム”という名の幽霊による怪事件が続発していた。ある夜、新人の歌姫・クリスティーヌは“ファントム”と運命的な出会いによって心を奪われてしまい、次第に密会を重ねるようになるが…。

レビュー

 アルジェントが「トラウマ 鮮血の叫び」と「スタンダール・シンドローム」に続いて自分の娘を主演にして撮った親バカムービー第3弾。似たような題名のアルジェント作品では「オペラ座 血の喝采」という映画もあってどっちがどっちだか分からなくなるが、本作はあくまでも数多くの映画や舞台にもなったガストン・ルルー原作の同名作品をアルジェント流に新解釈して製作されたものである。では、一体どこが新解釈なのかというと、ファントムが下水でネズミに育てられたイケメンというトンデモ設定が第一に上げられるだろう。ネズミがどうやってファントムに言葉や文字を教えたのかという疑問も残るが、そこは単にアルジェントが「バットマン リターンズ」のペンギンの設定をパクっただけであることが推測される。

 ゾンビよろしく首筋に噛みついたり、ディープキスに見せかけて女の舌を食いちぎるファントムの殺戮シーンは明らかに全盛期の勢いを失ったアルジェントらしい淡泊さであり、正直言ってあまり印象に残るものではない。アルジェントの映画から芸術的な殺人を取ったら一体何が残るのかという話であるが、そこは実の娘だろうが何だろうが構わず脱がせてセックスシーンを演じさせるいつものスケベ心むき出しの変態性と、突拍子も無く繰り出されるアルジェント特有のギャグなのか何なのか反応に困るシュールなシーンである。特に、ネズミの駆逐に執念を燃やすオッサンが自分で開発したネズミ殺戮マシーンを爆走させてネズミを一掃している最中にマシーンが大破し、飛んできた回転ノコギリに首チョンパされる一連の展開は極めてアルジェントらしい、何のために存在しているのか分からないシークエンスの代表格ともいえるだろう。

 他にも、アーシアにフられた幼馴染の男がヤケクソになりアヘンを吸いまくってラリパッパになってたら、エロい格好したアーシアが幻覚となって現れたり、ファントムがネズミをパンツに入れて恍惚の表情を浮かべるといった、劇団四季の「オペラ座の怪人」を見に行っているような層が鑑賞したら激怒、もしくは大爆笑してしまうようなシーンも多く、アルジェント親子の熱心なファン以外には非常に勧め難い1本となっている。なお、本作で実に印象深い美しい旋律のテーマ曲は巨匠エンニオ・モリコーネが手掛けており、こんなロクでもない親バカムービーには絶対にそぐわない格調の高い楽曲の数々を提供してくれている。音楽だけで評価をするのなら、数多ある「オペラ座の怪人」の中でも引けを取らない完成度といえるだろう。

 

完全にアバズレビッチの表情をしているアーシア嬢

 

丸鋸で首チョンパ!オペラ座ってこんな話だっけ?

 

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