もうひとりいる

監督:柴田一成

脚本:柴田一成

監修:清水崇

出演:佐久間信子、世那、河辺千恵子、
榊英雄、諏訪太郎、津田寛治

ストーリー

 都心の廃校で、新人タレント瑞貴、摩耶、有香のグラビア撮影が行われていた。撮影中、瑞貴はマネージャーが2人いることに気付くが、誰も信じてくれない。もうひとりの自分を見た者は死ぬという言い伝えをふざけて話すスタッフ。しかし、閉ざされた廃校で、自分を見た者たちは本当にひとり、またひとりと死んでゆく。パニック状態の中で瑞貴たちは驚愕の事実を知る。自分を見たら死ぬのではなく、自分が自分を殺しにくるのだということを…。

レビュー

 「呪怨」の清水崇が監修を務め、後につまんない方のリアル鬼ごっこ」を手掛けることになる柴田一成が監督デビューを果たしたドッペルゲンガーをテーマに扱ったホラー作品。 “もう1人の自分を見たら死ぬ”という有名な都市伝説を、“もう1人の自分が直接ぶっ殺しに来る”と超解釈し、夕暮れの校舎を舞台に必要最低限の登場人物だけでシンプルにまとめた内容であるが、ドッペルゲンガーの顔が奇妙に歪んでいくVFXの不気味さや、着信アリ」を先取りしたかのように全身の骨をバッキバキに折られて死んでしまう犠牲者のインパクトは中々のもので、低予算ながらも充分に楽しめる佳作となっている。上映時間が1時間弱しかないのも本作に於いてはプラスに作用しており、何とか最後まで緊張感を持続させているのもポイントが高いといえるだろう。

  ドッペルゲンガーには鏡を見ると何故か顔面のパーツがうにょにょーんとトランスフォームしてしまうという特性があり、途中で散り散りになってしまった登場人物らが合流した際、誰もドッペルゲンガーとすり変わっていないかを確認するため、順番に手鏡を覗いて顔が変化しないかをテストする。御存知、遊星からの物体X」における血液検査のパロディであるが、これも使い方を誤れば「制服サバイガール」のような制作者の頭の悪さが露呈してしまうアホ丸出しの展開になってしまうものの、本作に於いては見ている視聴者も登場人物同様に誰がドッペルゲンガーであるかが見当も付かないので、予測不能なスリルを与えることに成功している。ドッペルゲンガーをぶん殴ると自分も同等のダメージを受けてしまため、命の危険が迫っていても迂闊に手が出せない、完全に詰み状態である絶望的な状況も、伊藤潤二の短編「首吊り気球」を彷彿とさせていて面白い。主演の女の子たちの棒読み台詞は少々気にはなるが、「VERSUSの榊英雄や、Jホラー作品の必ずどっかしらに出没している諏訪太郎といった怪優たちが脇を固めているので、比較的安心して見ていられる作品である。

 

顔芸をこれでもかと披露してくれるドッペルゲンガー

 

エキストラの皆さん、ご苦労様でした…なワンシーン

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送