デモンズ・キラー
美人モデル猟奇連続殺人

監督:ランベルト・バーヴァ

脚本:ジャンフランコ・クレリチ、ダニエル・ストロッパ

出演:セレナ・グランディ、ダリア・ニコロディ、
バンニ・コルベッリーニ、サブリナ・サレルノ

ストーリー

 売上ナンバーワンを誇る男性誌「PUSSYCAT」のグラビアモデルが殺害される事件が発生した。彼女たちの惨殺死体は写真におさめられ、雑誌オーナーのグロリアのもとに送りつけられた。ローマ市警は、捜査を開始するが、容疑者を絞り込めずにいた。そんな中、第二の殺人が発生した。被害者は、またしても「PUSSYCAT」でモデルを務めた女性だった。その後も猟奇的犯行は止むことがなかった。殺害された無残な姿は写真に撮影され、グロリアのもとに送り続けられた。異常な連続殺人犯は、一体誰なのか…?

レビュー

 巨匠マリオ・バーヴァの息子でありながら親父からの才能の遺伝を微塵も感じさせない超ビミョーな映画を連発しているランベルト・バーヴァ監督が、初心に戻って手掛けたジャーロ作品。当時、イタリアで大人気だったセクシー女優のセレナ・グランディを主演に迎え、ダリオ・アルジェントとセックスしてアーシア・アルジェントという名の天使をこの世に産み落としたダリア・ニコロディの姐さんや、あとよく分かんないけどオッパイのデカい奴らがその脇を固めている。

 「美人モデル猟奇連続殺人」という御大層な副題ながら、実際に犠牲になったモデルは2人だけというのは相当な肩すかしであったが、殺害シーンは中々趣向を凝らしており、やかましい音楽と共に赤と青の照明がチカチカ点滅して親父の作風を雑にリスペクト相手の土手っ腹にピッチフォークを突き刺してプールに突き落とす豪快さを見せたかと思いきや、無数の蜂を部屋に解き放ってショック死させるという回りくどい方法をとったり、更には犠牲者の遺体とヒロインのポスターを並べて写真を撮るという気持ちの良いガイキチっぷりも見せてくれる。特にこの映画で一番の見所ともいえるが、殺人鬼の視点になると、これからぶっ殺そうとしている人間の姿が何故か目玉の親父や蜂のオバケになったりする妙チクリンな演出だろう。もしかしたら犯人には決して人間を殺害しているという自覚はなく、醜悪なモンスターを退治しているという感覚なのかもしれない。そう考えてみると、「デモンズ・キラー」という邦題は実に秀逸であるともいえるが、実際はそんなに大した意味もなく、ランベルト・バーヴァ=デモンズ」だけの一発屋いう認識だけで邦題を付けただけのような気もするし、目玉の親父や蜂のオバケも単にランベルト・バーヴァが撮影中にヤクでもキメてただけなのかもしれない。

 ジャーロ映画らしく、ヒロインの周辺に怪しい人間が山ほど存在しており、真面目に鑑賞していても一体誰が犯人であるのかが最後の最後まで分からないのも面白い。何せ、ヒロイン宅の隣人は夜な夜な「僕の膨れ上がったチンポコを君の中で破裂させたいよ」といった完全アウトなラブコールを送ってくる車椅子の変態だし、事件を捜査する刑事は「何か全然刑事っぽくないですね」みたいな伏線めいたことをヒロインに言われてるし、久々に再会したヒロインの元カレは風呂場でヒロインとペッティングを堪能した後は中盤で唐突に物語から姿を消すし、ダリオ・アルジェントとセックスしてアーシア・アルジェントという名の天使をこの世に産み落としたダリア・ニコロディの姐さんすらも何故か終盤で唐突に物語から姿を消すといった具合に、とりあえず出てくる奴ら全員が不審者といっても過言ではない。結局、犯人は途中で死体になってた筈のヒロインの弟ちゃんなのだが、凶行に至った動機が「度のシスコンだったからというこれまた超投げやりな感じなのもランベルト・バーヴァらしいテキトーさで嫌いになれない。

 

 

犯人目線の被害者その1 目玉の親父

 

犯人目線の被害者その2 蜂のオバケ

 

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