ゾンビ・ブライド
監督：山内大輔
脚本：山内大輔
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出演：みづなれい、倖田李梨、竹本泰志 |
ストーリー
不倫相手に殺害されたＯＬの嶋沢愛里は朝目を覚ますとゾンビになっていた。ゾンビと言っても意識はあり、言葉も喋れる。しかしその顔をはどう見ても生きている人間の顔ではなかった。とりあえず不倫相手の吉岡を探そうと彼の家へ向かう愛里、だがそこにいたのは完全なゾンビと化した吉岡の妻・杏子の姿だった…。全国各地で死体が蘇る事例が増加しており、不運にもその一例となってしまった愛里は絶望の淵に立たされる。しかし先輩ゾンビ達との出会いを通して、もう一度前を向いて歩くことを決意する。吉岡への復讐を成し遂げる為、そしてシアワセを掴む為人肉を喰らう！
レビュー
不倫関係にあった男性に殺害され、ゾンビとなったＯＬを主人公に描かれる人情ドラマ。監督は「少女地獄１９９９」や「無残画」など、監督の人間性を疑いたくなるような問題作を手掛けてきた山内大輔。ゾンビ視点で語られる映画はこれまで何度も製作されており、我が国にもＳＡＢＵ監督の手掛けた「ミス・ゾンビ」という作品があったりして些か食傷気味なところはあるが、さすがにゾンビが自転車で人肉ハンバーガーを売り歩く映画は本作だけであろう。ジャケットには花嫁姿のメンチきったゾンビが「腐った奴は叩きのめす！」という殺る気満々のコピーと共に描かれているが、実際の映画は全く殺伐としておらず、変態鬼畜映画ばかり撮っていた山内大輔とは思えぬ程にほのぼのとした内容である。そもそもヒロインは花嫁でも何でもなく結婚願望のあるゾンビに過ぎないので、このタイトルも悪質な結婚詐欺なのだが、意外と映画の出来が良かったりするのでさほど気になることも無い。
この世界では死体がゾンビ化してしまう現象が稀にあるらしく、茫然自失状態で街をさまようヒロイン・愛里を、ゾンビ御用達スナックのママである先輩ゾンビが手を差し伸べる。ゾンビ化した際は定期的に人肉を摂取しないと次第に腐敗が脳まで進行してしまうとのことで、先輩ゾンビは人肉で作ったハンバーグを御馳走し、彼女をスナックで雇うことにする。様々なゾンビとの交流を経て、愛人への執着を断ち切り、愛里が精神的に大きく成長していく物語は、ゾンビ映画とは思えぬほどに感動的だ。一皮剥けた(ゾンビだけに！)彼女が旅に出て、途方に暮れている若者ゾンビに手を差し伸べるラストは、こんな映画で泣きたくもないだろうが涙なしでは見られぬ名シーンである。是非とも全国の小学校の道徳の授業で流してほしい作品ではあるが、ヒロインを演じているのがバリバリのＡＶ女優で、冒頭を含む劇中の至る所で生々しいセックスシーンもあるので子供には大人しく日本昔ばなしでも見せておいた方が賢明かもしれない。
