クライモリ
デッド・ビギニング

監督:デクラン・オブライエン

脚本:デクラン・オブライエン

出演:ジェニー・パダヴィック、ケイトリン・ウォン
テラ・ヴァネッサ

ストーリー

 1974年、ウェストバージニア州の森の奥にある療養所では、猟奇的な人食い一族が監禁されていた。ある日檻からの脱出に成功した彼らは、手当たり次第に医師たちを惨殺していき、療養所は地獄と化した―。およそ30年後、森に遊びに来ていた大学生のケニアたちは吹雪に遭い、偶然見つけた廃墟へと逃げ込む。しかし、そこは“あの療養所”だった! 何も知らない彼らは乱痴気騒ぎに興じていたが、仲間のひとりがいないことに気づき…。

レビュー

 傑作「クライモリ デッド・エンド」の続編としては、すこぶる微妙な出来であった「クライモリ デッド・リターン」の監督であるデクラン・オブライエンが引き続きメガホンを取り、マウンテンマンこと奇形3兄弟の全員が存命である1作目以前の惨劇を描いたシリーズ第4弾。2作目は人体真っ二つ、3作目は人体三枚おろしで物語の幕が開けたが、4作目である本作では幼年期のマウンテンマンにオモチャにされた隔離病棟の院長の四肢がもぎ取れてタイトルがバーン!と登場する。相変わらずブラックな洒落の効いた粋な演出であるが、実際のところ面白いのはタイトルが出るまでの僅か10分であり、そこから先は何と舞台が30年後に進んで、おバカな若者グループがスーパー奇形ブラザーズの波状攻撃で安い命を盛大に散らしていくという、いつも通りの物語が展開される。何というビギニング詐欺であろうか。

 今回の舞台は雪山に聳え立つ廃病院であり、道を間違えて遭難しかけた大学生グループがそこに待避して、患者のカルテを漁っては「ウゲー!奇形キモ!」を連呼したり、放置されていた車椅子に乗って皆でマリカーみたいにレースしたり、勝手に今は亡き院長の酒をイエーイ!と回し飲みしたり、カップルだろうが女同士だろうか所構わずバッコンバッコンとセックスしたりと「いいからお前ら少し落ち着け!」と言いたくなるくらいの乱痴気騒ぎを展開。誰もが「こいつら全員死んでくんないかなぁ…」と思ったところでマウンテンマンが登場し、有刺鉄線首吊りや胴体ドリル貫通などの天誅を下して人間オイルフォンデュなどの奇形グルメで美味しく頂く期待通りの流れになってはいるものの、前作から顕著になっている“捕食目的というよりは明らかに快楽の為に殺人をしているマウンテンマンの描写”により、見ているこちらは少しもスッキリすることは無い。あれだけ死んで欲しかった大学生グループが、憎たらしいキチガイに散々いたぶられて殺される姿を見て、何だか気の毒になってしまうほどだ。

 また、タレントのベッキー似であるヒロインがシリーズ1位、2位を争うほどのバカであるのもフラストレーションの蓄積に一役買っている。全員で一斉攻撃を開始し、マウンテンマンを檻に閉じこめることに成功するが、仲間の仇とばかりにトドメを刺そうとするメンバーを必死に制止させて「例え相手が奇形でも人殺しは良くないわ!」と急に聖人ぶった言動をとり出す。案の定、マウンテンマンは脱走し(見張りが居眠りぶっこくというこれまた凄い展開)、犠牲者が大幅に増えてしまうわけだが、そうなると今度はアッサリと前言撤回して「死ね!奇形トリオ!」とナイフを振りかざして戦闘モードに突入する始末。1作目の前日譚という都合上、マウンテンマンをぶっ殺すわけには行かないことは百も承知であるが、もうちょっと違和感の少ない展開を用意して欲しかったものである。前作同様、スタッフロール直前で唐突に訪れる生存者全滅のバッドエンドもオブライエン監督の性格の悪さしか感じられず、この“カタルシスを一切感じさせない作風”は次作「クライモリ デッド・パーティ」でも遺憾なく発揮されている。

 

4作目だから四肢がもぎ取れるシャレたオープニング

 

2人仲良く首チョンパ。何だか間抜けな絵面だな!

 

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