逃走中
殺人ハンター

監督:遊山直奇

脚本:遊山直奇

出演:池田夏希、上野健、
伊藤紀博、金倉浩裕

ストーリー

 近未来の日本。政府の弱体化により犯罪率が上昇した時代、とあるテレビ番組に爆発的な人気が集中していた。過激な内容で話題のデンジャラス・デイズは、あるエリアで、[参加者=ランナー]が、様々な武器を所持した数体の鬼=ハンターから、100分間逃げ切ったら、報酬1億円が手に入るシンプル且つ危険でリアルな鬼ごっこゲームである。刑事の光子は、一刻も早い移植手術を必要とする病弱な妹を抱え、高額な手術費捻出のため<デンジャラス・デイズ>への参加を決意する。ゲームのエリア・秋葉原へ集められた光子らランナーたち。彼らの不安をよそに、ゲームはもう始まった…!他のランナーが次々と死んでいく中、光子はハンターたちから逃げ切り、賞金1億円を獲得することができるのか!?

レビュー

 某人気番組の設定を恥も臆面もなくパクって制作された低予算ホラー作品。ジャケットには黒スーツにサングラス姿の男たちがT-1000みたいなフォームで一斉ダッシュしている疾走感溢れる写真の下に「逃走中」のタイトルが自信満々に踊っており、汚れを知らないピュアな人なら本気で「逃走中」の関連作品だと勘違いしてしまいそうであるが、実際にはお台場某局もマーク大喜多のナレーションもドランクドラゴンのデブじゃない方の炎上騒動もまるで無関係な、人気番組にあやかっただけの便乗映画である。

 まず、面白いと思ったのが、いきなりこちらの意表を突かされる秀逸なオープニングだ。映画の舞台となっている世界が、殺人ゲームが公共の電波で平然と垂れ流されている異常な日本であることを説明するシーンと平行して描かれているのは、街中を必死に逃げ惑う男と、それを全速力で追う黒スーツにサングラスの女性。話の流れで言えば当然これが殺人ゲームの真っ最中であり、この女性がハンターであることは明白であるが、実はこれが巧妙なミスリードで、黒スーツの女性は本作のヒロインでもある女刑事であり、逃げていた男は犯罪者。何とゲームとは一切関係のない単なる逮捕劇だったのだ。

 観客を翻弄するテクニックはゲーム中でも発揮されており、例えば登場人物の1人であるヤクザは、自分の弟分が人質にとられて大金が必要であるという動機付けの他にも、実は過去に教会の神父もしていたという、明らかに他の参加者よりも無駄に複雑なバックボーンを備えているが、何と物語の中盤で仕様もない罠に引っ掛かりあっさりと無駄死にする。そうかと思えば、ただ単にギャンブル狂いだという以外にキャラ紹介が特に無かったアンちゃんが意外としぶとく生き残っていたりと、誰が最後まで生き残るのか予想の出来ない展開はデスゲーム映画としては正しい作り。しかし、肝心の殺人シーンに関しては不満の残る出来であり、そもそも本家「逃走中」では捕まえてハイおしまいなルールなのに対し、命を賭けたゲームを描いた本作では一体どんな“その先”を見せてくれるのかがこの映画のキモともいえる部分なのだが、驚くべきことに棒で殴る、スタンガンでビリビリさせる、銃で撃つ以外のバリエーションが無かったりする。

 また、終盤からの展開は冗談抜きで酷く、ネオハンターなるラスボス的存在がゲームに投入されるのだが、何とその正体はヒロインの上司である課長一体何で課長がゲームに、それもハンター役で参加しているのかと言うと、以前からヒロインのことが何かムカついていて、とにかくぶっ殺したいと思っていたからなのだそうだ(マジでそれ以上の理由が語られない)。銃なんか捨てて男らしく素手で掛かってこいというヒロイン。そして始まる素手同士のタイマンバトル。しかし、男女の体格差はどうにもならず劣勢に追い込まれたヒロインは、ネオハンターが捨てた銃を拾ってズドンと相手にお見舞いして決着素手で勝負しろって言ったのお前だろ!というこちらのツッコミも空しく、ヒロインは大金を手にしてゲームセット。一緒に生き残った相棒刑事が賞金をせしめようとヒロインを裏切るような展開もなく、実は勝者が次回ゲームでのハンター役を強制されるといった気の利いたオチすらもなく、ヒロインは賞金を大病を患った妹の手術費用にあてて病室でニッコリ微笑みスタッフロール。今すぐ俺がネオハンターになってヒロインをぶっ殺したい(理由:何かムカつくから)。思わずそんな考えが頭をよぎる結末であった。

 

         

  そこに迫る、3体のハンター…(ナレーション:マーク大喜多)        チープだけどゴアシーンも頑張ってるぞ

 

   

     秋葉原が舞台なのでメイド姿のハンターもいる           素手で掛かってきなさい!…って、お前が銃使うんかい

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