ショッカー

監督:ウェス・クレイヴン

脚本:ウェス・クレイヴン

出演:マイケル・マーフィ、ミッチ・ピレッジ、
ピーター・バーグ、ヘザー・ランゲンカンプ、テッド・ライミ

ストーリー

 ジョナサンは養母と幼い兄妹が殺された夜、犯行を夢で予知していた。犯人はTV修理屋のピンカー。養父のパーカー警部はジョナサンの予知夢の力を借りピンカーを逮捕する。彼は電気椅子により死刑となるが、刑の執行中、電流が流れた途端ピンカーはそれと一体化し、跡形もなく消失する。ピンカーは電流と化し、自由自在に移動できるようになっていた!

レビュー

 「エルム街の悪夢」で名を馳せたウェス・クレイヴンによるスラッシャーであるが、作品のテイストは実にコミカルである。主人公の男は愛する家族や恋人、青春を共に過ごす掛け替えのない友人や、厳しいけど嫌いになれない部活の鬼コーチといった大切な人たちを次々と残忍な殺人鬼によってぶっ殺されてしまうが、どういうわけか少しも物語のトーンが重くならず、それどころか後半に進むにつれて真面目に作ってるのか単なる悪ふざけなのか判別不可能なバカ展開が増えていき、最後は何だかよく分からないけど妙に爽やかな余韻を残して終わるという、「鮮血の美学」を撮ったド畜生の映画とは思えぬ程のあっけらかんとしたホラー映画である。

 本作の殺人鬼であるピンカーは人殺しが大好きなテレビ修理屋のハゲたオッサンに過ぎないのだが、家族と恋人をぶっ殺された主人公の執念と、何で見れるのか特に説明のない「ファイナル・デスティネーション」な予知夢のおかげで、映画が始まって割と早い段階で警察にお縄となってしまう。結構な人数をぶっ殺していたピンカーは問答無用で電気椅子送りとなるが、さあ死ね!とスイッチを入れたその瞬間、何とピンカーは肉体を消失して電気になってしまう。何で人間が電気になってしまうのか、特に説明は無いが、恐らく死刑の執行直前に独房で行っていた黒魔術的な儀式が関係しているのだろう。スゲーな、黒魔術。

 ともあれ、肉体という殻を捨て無敵の電脳生命体となったピンカーは、ドカタのおっちゃんやチャリンコ乗ってる幼女といったその辺の人間から、マッサージチェアやテレビといった家電製品まで自由気ままに憑依して主人公を執拗に痛めつけていく。実は主人公の真の父親はピンカーだったというスカイウォーカー親子顔負けの真実が途中で明かされるが、それでも映画は一向にシリアスにならず、序盤で死んだガールフレンドが幽霊となって再登場してピンカーと対決するという主人公と観客を同時に置き去りにする前代未聞の展開になだれ込む。何でガールフレンドにそんなことが出来るのか、特に説明は無いが、恐らくジェダイマスターか何かだったのだろう。クライマックスは様々なテレビ番組を舞台に主人公とピンカーが延々追いかけっこやプロレスを繰り広げるスラップスティックなものになっており、とにかくエンタメ要素満載のゲラゲラ笑える脳ミソに優しいスラッシャーであった。

 

幽霊の彼女が電気人間ピンカーと対決。勝手にやってろ!

 

コンセントがあれば充電も出来る。そう、ピンカーならね

 

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