パズル

監督：内藤瑛介

脚本：佐々木誠、内藤瑛亮

原作：山田悠介

ストーリー

　とある郊外の高校。女生徒の中村が突如、屋上から飛び降りる。 一ヶ月後、同じ高校で奇怪なマスクをつけた集団の占拠事件が発生。妊娠中の女教師が監禁され、理事長と男子生徒3人がこつ然と姿を消す。不可解な事件に街中が騒 然となる。一方、同級生の湯浅は、一命をとりとめた中村のもとを訪れ、謎の封筒を置き去っていく。その直後、失踪した生徒が異様な姿で発見される。不審に感じた中村は封筒の中身を見て驚愕。そこに入っていたのは、すべての事件の鍵を握る「パズル」のピー スだった。湯浅は何者なのか？中村は導かれるように彼の後を追うが、待ち受けていたのは想像を絶する衝撃の光景だった。

レビュー

　中高生にやたらと人気のある山田悠介原作小説の映画化。実は１度TVドラマとして映像化されているが、そちらは原作に割と忠実な出来だったのに対し、こちらは原作を大幅に改変。その結果、中高生くらいには丁度良かったと思われるションベン臭い茶番劇から、ジグソウ先生も思わずサムズアップしてくれそうな悪意たっぷりのデスゲーム映画に大変身。正直、見る前は嘗めてかかってたこともあり、その容赦のない展開には大いに驚かされた。監督が「先生を流産させる会」の内藤瑛介なので、嫌悪感を抱かせる展開が目白押しなのも納得である。

　拘束された人質を救う為、様々な場所に隠されたパズルのピースを探すというゲームの基本ルールだけを原作から拝借し、ストーリーはもはや完全に別物。ざっくりネタバレを言ってしまえば女子生徒を強姦し、自殺に追いやった人間たちに復讐をする話なのだが、いわゆるレイプ・リベンジ・ムービーと違って映画がちっとも痛快でないのは、復讐をするのが自殺した張本人とは無関係の根暗で中２病気味な男子生徒であることと、殺人ゲームに巻き込まれるのが当事者だけでなく、その家族にまで及んでいることであろう。

　最初のゲームで拘束される女性教員に至っては、大して悪いことをしていないのにも関わらず、散々痛めつけられた挙げ句にお腹の中にいる赤ん坊まで殺されてしまうのだから全く以て救われない。レイプ犯の生徒達は自分の親の前で惨たらしく死ぬし、理事長のオッサンはワケも分からず自分の娘を強姦してしまう。ただの男子高校生がワナオトコも真っ青のハイテクトラップをたやすく作成しているのにはどう考えても無理があるし、トラップ解除の鍵がパズルのピースである必然性もイマイチ感じられないが、少なくとも山田悠介を愛読しているような中高生にはトラウマを与えかねない強烈なインパクトを放っている作品である。エンディング、大量の返り血を浴びた夏帆がひたすら踊り狂うアバンギャルドなスタッフロールも印象深い。