学校の怪談
呪いの言霊

監督:落合正幸

脚本:落合正幸

出演:小西彩乃、山邊未夢、中江友梨
庄司芽生、新井ひとみ

ストーリー

 詩織は奇妙な物音で目が覚めた。物音の正体は全てが昭和63年発行の4枚の10円玉が激しく振動する音だった。詩織は母の日記に残された昭和63年、高1当時の思い出を読み返し、7月18日にガス事故で母の同級生たちが亡くなったことを知った。今日が命日だったのだ。母親の母校である「北山田高校」は、今は廃校となっており近日中に取り壊されることになっていた。詩織は母の代わりに廃校となった高校を訪ねる事を決意する。

 一方、高校では彩乃、未夢、友梨、芽生、由佳、美晴、佑治、満夫、靖彦ら1年3組の生徒たちが過去に1年4組で起こったガス事故について噂話を始めたことから不可思議な現象が起こり始める。体育館の中の人影、閉鎖された教室からの不気味な息遣い…。

 同じころ、ネットにフェイクのホラー映像を流すために廃校に忍びこんだ一樹、公雄、義人、ひとみ。4人は撮影の為に校舎の中で撮影を行っていた。そしてひとみは公雄から聞いた異界に繋がる“きつねの窓”を作り、その中を覗こうとしていた…。

レビュー

 15年ぶりとなる「学校の怪談」シリーズ最新作。監督は緑の粘液を撮らせたら右に出る者はいないであろう落合正幸。ガッチガチのホラー映画ばかり撮っている印象のある落合であるが、実は2010年に「学校の怪談」の遺伝子をほんのり受け継いだ児童向けホラー「劇場版 怪談レストラン」のメガホンを撮っていたりもしたので、この人選にも納得しかていたのだが、いざ出来上がった本作は「学校の怪談」のテイストが微塵も感じられない上に本格ホラーとしても上手く昇華しきれていない何とも中途半端な映画になっており、こんな箸にも棒にもかからない作品を日本橋のTCXで観てしまったことを猛烈に後悔している。ついでに言えば中身の大半が興味の無いアイドルの写真集であったぼったくりパンフレットを買ってしまったことも心から反省している。

 主演の東京女子流なるアイドルは、与えられた台詞をただ読んでいるだけに過ぎず、過去作のどの子役よりも感情のこもっていない演技を披露してくれる。それだけならまだいいが、「これはきっと呪いの言霊だ!」と誰かが言ったら「呪いの…言霊?」といちいち相手の台詞を棒読みで繰り返す副音声的な演出がやけに多いのは気になって仕方がない。物語は時間軸がバラバラの3つのエピソードが複雑に絡み合う「呪怨」ばりに難解な構造になっており、噂話が現実のものとなる呪いの言霊が物語の主軸なのかと思いきや、霊界を覗くことが出来るきつねの窓がある種のテーマになると思わせといて、実は全ての原因はこっくりさんなのだが、そのこっくりさんで呼び出されたのが何と悪魔だったりするので、とにかく話に節操というものが無い。というか、日本の怪談話なのに悪魔って何だ。

 唯一、鏡の向こうで助けを求める友人の姿に全く気付かないという初代「学校の怪談」と全く同じ構図のシーンにオマージュらしきものを感じるが、それ以外はとにかく安っぽさ全開のアイドル映画といった印象。ラストでちょっとしたどんでん返しもあるが、そこに至るまでに散々苦痛を味わっているので特に感心することもない。これだったら、関西テレビ系で放送したドラマ版「学校の怪談」を見た方が遥かにマシだし、もっと言えばスタジオぴえろのアニメ版を見ていた方がよっぽど時間を有意義に使えるだろう。

 

「学校の怪談」でミカが姉に助けを求める場面のオマージュ?

 

こっくりさんなのか悪魔なのかハッキリしてよ!

 

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